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2025.02.18 》

【訪問介護】特定事業所加算と処遇改善上位の取り方 福岡市の小規模な事業所が達成できた理由

言うまでもなく訪問介護の経営環境は極めて厳しい。それでも前を向き、自らの職責を果たそうとする事業者、ホームヘルパーらが今日も現場を支えている。【Joint編集部】

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明るい話がないわけではない。基本報酬が引き下げられた前回の介護報酬改定でも、十分とは言えないがプラスの要素はあった。これをうまく使えば、受けたダメージを幾分和らげることができる。


大きいのは「特定事業所加算」が従来より取得しやすくなったこと。下位区分は中小の事業所でもクリアしやすい要件で、加算率は3%。少なくとも基本報酬の引き下げ分はカバーできる。

《訪問介護の特定事業所加算》下位区分の要件のポイント


◯ 計画に基づく研修の実施
◯ 利用者の情報・留意事項の伝達などを図る会議の定期的開催
◯ 健康診断の定期的実施
◯ 緊急時の対応方法の明示
◯ 基準を上回る数の常勤サ責を1人以上配置or勤続7年以上のヘルパーの割合が30%以上 等


※ 有資格者の配置など更なる要件を満たせば10%、最大20%の加算率を得ることも可能

《 訪問介護「つくも介護ステーション」・平岡聡美管理者 》

特定事業所加算に着目する利点は他にもある。有資格者の配置など上位区分の要件が、処遇改善加算の上位区分の要件と重なることだ。


ホームヘルパーが圧倒的に不足しているため、訪問介護は稼働率アップが難しい。加算の種類も少なく、経営を安定させる施策の選択肢はどうしても限られる。


特定事業所加算と処遇改善加算を両睨みで捉え、双方とも上位区分を取得できるようにする。これこそが正攻法で、全ての事業所が実施を求められていることにほかならない。


◆「なんとかなるもの」

《 星山雅彦代表取締役と平岡管理者 》

福岡市の株式会社クリアが運営する小規模な訪問介護事業所「つくも介護ステーション」を取材した。今年から新たに特定事業所加算を取得しはじめ、処遇改善加算も上位区分に移行したという。


忙しい中で労力を割き、難解な要件の理解や煩雑な書類の作成をやっと乗り越えたとしても、「もし間違っていたら…」「報酬返戻になるかも…」といった不安がつきまとう。


そんな“茨の道”をなぜ歩めるのか。管理者とサービス提供責任者を担う介護福祉士の平岡さんは、介護経営支援ソフトが「最後の一歩を踏み出す後押しをしてくれた」と話し、次のように続けた。


「加算を取ればどうしても業務負担は増える。でもここは動かないといけないと思ったし、実際やればなんとかなるものだと感じた」

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◆ 要件は満たしていたけど…

《 訪問介護「つくも介護ステーション」・平岡聡美管理者 》

  −− 特定事業所加算と処遇改善加算の取得状況を教えてください。


今年から特定事業所加算の(II)を新たに取り始めました。それと合わせて、もともと(III)だった処遇改善加算を(I)に上げることができました。


  −− 昨年まで特定事業所加算を取得していなかった要因は、やはり要件のハードルの高さでしょうか?


うちは職員に介護福祉士が多いこともあり、要件は満たせるだろうと考えていました。実は内心、「これなら取れるな」「申請しないともったいない」と思っていたんです。


でも、細かい要件がややこしくて書類作成も煩雑なため、なかなか踏み切れなかったんです。実際に取り組むと、どうしても時間や労力がかかりますよね。日々の業務の忙しさもあって、どうしても動き出せず時間がかかってしまいました。

《 訪問介護「つくも介護ステーション」・平岡聡美管理者 》

  −− その中で動き出せたきっかけは何でしたか?


今年度の介護報酬改定です。訪問介護の基本報酬が下がり、経営がより厳しくなりました。できるだけ加算を取って、少しでも収入を増やさなければいけないと危機感を感じました。


そこで、1年前から導入していた介護ソフト「カイポケ」を頼ったんです。特定事業所加算の取得支援サービスがあるので、それを活用してみることにしました。


◆ タイムリーに疑問が解ける

  −−「カイポケ」からはどんな支援サービスを受けましたか?


要件のポイント、必要な体制の整備、書類の準備などについて詳しく教わりました。使うべき様式やその書き方、行政とのやり取りについても、丁寧にアドバイスを頂きました。


申請のプロセスで出てくる疑問は気軽に尋ねることができます。「要件の解釈が分からない」「様式の埋め方を確認したい」。そうしたことを聞くと、的確な回答を速やかに得ることができるんです。


  −− そうしたアドバイスって実際に役に立つんでしょうか?


何もなければ1人で全てやらないといけないと考えると、すごくありがたいものです。以前は、そもそもどこから手をつければいいかも分からない状態でしたので…。

《 訪問介護「つくも介護ステーション」・平岡聡美管理者 》

行政に問い合わせても、回答が得られるまでに1週間以上もかかってしまいます。それだと、空いた時間をうまく使って前に進められないんですよね。


的確なアドバイスをよりタイムリーに得られるので、ストレスを感じずにスムーズに進めることができました。また、取得後に気をつけるべきポイントもしっかりと教えてもらえるので、運営指導などの不安も軽減されました。


  −− ヘルパーさんの苦手な部分を補ってくれるイメージでしょうか?


そうですね。加算取得の事務に必要なスキルは、私たちヘルパーの専門性と全く異なります。そのギャップを埋めるのが介護ソフトで、頼ればだいぶ楽になるんだなと感じました。


◆ ヘルパーをもっと自由に

《 訪問介護「つくも介護ステーション」・平岡聡美管理者 》

  −− そもそも介護ソフトで「カイポケ」を選んだ理由はなんですか?


いつも連携しているケアマネジャーが使っていて、勧められたことがきっかけです。「カイポケ」は中小の居宅介護支援事業所が多く使っているソフトで、周囲と話が合うことが決め手になりました。カイポケを使っているケアマネジャーとはカイポケ間でデータ(サービス予定・実績)のやり取りが完結するので、向こうも喜ぶしこちらも楽なんです。


  −− 記録の効率化などは実現できていますか?


カイポケとスマートフォンを活用するようになり、働き方が変わりました。全て紙で記録・請求を行っていた頃と比べると、私も他のヘルパーさん達もかなり楽になりました。


例えば、過去の対応履歴の確認や申し送りの共有がスムーズに行えるので、現場の負担を抑えてケアの質の向上を図れます。記録がサービス実施記録や給与計算とも連動するので、管理者や事務担当者の手間も少なくなりました。


全てがカイポケ1つで完結するところが一番の魅力ですね。ヘルパーさん達も手書きの記録に時間をかけたり、事業所に来たりする負担が減って喜んでいます。スマホ画面の文字が大きく見やすいところがいい、という声もありました。

《 訪問介護「つくも介護ステーション」・平岡聡美管理者 》

  −− ヘルパーさんの負担が減るのは、管理者としては嬉しいですよね。


この地域もヘルパー不足で、ケアマネジャーや地域包括支援センターからの依頼を断らざるを得ないケースが増えてきました。最大限の効率化を図っても、どうしても受けられないご利用者さまがいるんです。


だからこそ、ヘルパーの負担を軽くすることは大きな意義があると感じます。高齢者の生活を支え、働く皆さんの負担を軽減するという意義の大きな仕事をしているわけですから、もっともっと自由に活躍できる環境を作っていきたいと思いました。

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