財政健全化への道のりを話し合う財務省の審議会(財政制度等審議会)は29日、政府が来月にもまとめる今年度の「骨太の方針」に向けた提言(建議)をまとめた。【Joint編集部】
急激な物価高騰などを背景として業界では診療報酬、介護報酬の引き上げを求める声が強まっているが、財政審はやはり厳しい姿勢を崩さなかった。
「医療・介護の給付費は大幅に増加している。今後さらなる高齢化が進むなか、現役世代の負担能力を考えれば持続可能な状況とは言い難い」と牽制。「給付費自体の抑制に取り組み、制度の持続可能性を確保する必要がある」と重ねて強調した。
あわせて、「少子化対策で新たな財政需要が生じるなか、来年度の報酬改定に向けては、医療機関や介護施設の財務状況をみながら、引き上げの必要性について慎重に議論を行うべき」と訴えた。
来年度の報酬改定をめぐっては、来月の「骨太の方針」にどんな考え方を盛り込むか水面下での攻防が激化している。財政審はこのほか今回の提言で、「さらなる高齢化を見据え、公的保険が担うべき役割を議論するとともに、介護保険の枠組みにとらわれず地域コミュニティや民間などの資源を活用すべき」とも主張した。