日頃から地域で活躍する現場のケアマネジャーによる日本初の取り組みだ。その名の通り、一般企業の社員らの仕事と介護の両立を支える活動を共に展開することを目的としている。【Joint編集部】
「おきなわ仕事と介護両立サポート協同組合」の設立発表会が先月、沖縄県那覇市の総合福祉センターで開かれた。
この分野の知識・スキルを身に付けた「ワークサポートケアマネ」、「産業ケアマネ」の資格を持つ4人が集まって立ち上げた。沖縄で居宅介護支援などを担う複数の事業者、ケアマネが中心となっている。
◆ 個別に動くだけでは限界も…
「望まない介護離職を未然に防ぎたい」
組合の大城五月理事長はインタビューでそう強調した。会社員らの介護相談を受けてきたこれまでの実践経験も活かし、働きながら親などの介護をする人たちの“道しるべ”となることを目指す。
組合によると、沖縄県内にはワークサポートケアマネが4人、産業ケアマネが36人いる。ただ、こうした資格の社会的な認知度はまだまだ低いのが現状だ。行政への連携の打診や企業へのPRなどをしている中で、一定のニーズはあるという手応えは掴めたものの、有資格者がそれぞれ個別に動くことの限界を感じる場面も多かったという。
組合では、仕事と介護の両立に関する実態を把握するための調査を行い、そこから見えた課題を解消する方策などを考える勉強会を開いていく。こうした活動で実践力を更に高めつつ、悩みを抱えている人への専門的な相談支援などを積極的に展開していく考えだ。対象は主に企業だが、個人へのサービスの提供も想定しているという。
◆「仕事と介護を両立できる選択肢を」
大城理事長が経営している合同会社hareruyaは、2021年の7月から8月にかけて沖縄県内でアンケート調査を実施。104社、300人から回答を得た。
「家族に介護が必要になったら仕事を続けられるか?」
この質問への答えは、「できないと思う」が実に50%を占めていた。理由を聞くと、「漠然とした不安があるから」が34.7%で最多。「介護がいつまで続くか分からず、将来の見通しを立てにくいから」が29.6%、「介護保険の仕組みが分からないから」が27.7%と続いていた。
大城理事長はこうした結果も踏まえ、「大きな社会課題に向き合っていくにあたり、1事業者では体制的にもできることに限りがある」と説明。「組合を通じてしっかりと企業をサポートしていくことで、仕事と介護を両立できる選択肢を従業員の皆さんに提供していきたい」と意気込んだ。