今後の社会保障の改革がテーマとなった11日の「財政制度等審議会」の分科会 − 。財務省は介護保険をめぐる論点として、要介護度が重くなると介護報酬が上がる現行の制度設計の是非を取り上げ、特に居宅介護支援のケアマネジメントの基本報酬に疑問を呈した。【Joint編集部】
居宅介護支援の現行の基本報酬は表の通り。要介護3以上は要支援2以下と比べ、3.2倍も高い水準に設定されている。
このほか、質の高い事業所に上乗せして支払う「特定事業所加算」の要件に要介護3以上の利用者の割合が含まれるなど、重度者への対応が手厚く評価されているのが現状だ。
財務省はこうした現状を踏まえつつ、国の昨年度の調査結果を紹介。「実際の利用者1人あたりの労働投入時間をみると、要介護度の重軽による違いはそこまで大きくない」と指摘した。
あわせて、「今の介護報酬は自立支援・重度化防止に向けた取り組みへの評価が不十分。要介護度の改善など成果に結び付いているとは言い難い」と問題を提起。「介護保険法の趣旨に照らして、自立度や要介護度の維持・改善などアウトカム指標を重視した枠組みとすることが重要」と提言した。