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2023年4月20日

【石山麗子】ケアマネは地域共生社会に欠かせない存在 法定研修の見直しを機に視野を拡げていこう

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《 国際医療福祉大学大学院・石山麗子教授 》

4月17日、厚生労働省は介護支援専門員法定研修カリキュラムの実施要綱とガイドラインを発出しました。【石山麗子】

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カリキュラム案・ガイドライン案が発出されたのは去年の4月でしたので、そこからちょうど1年です。厚労省は丁寧に検討を重ねたといえます。


《 関連通知リンク 》
介護保険最新情報Vol.1143
介護保険最新情報Vol.1144
介護保険最新情報Vol.1073


新しい法定研修のカリキュラムが適用されるのは2024年度からです。新カリキュラムの改定のポイントは、筆者の連載で昨年8月にお伝えしました。例えば、


(1)適切なケアマネジメント手法が主任介護支援専門員研修以外のすべての課程に導入されたこと


(2)介護支援専門員倫理はすべての研修課程で学習すること


(3)地域共生社会の実現に向けた内容を充実させたこと


などがあげられます。今回はこのうち(3)について、4月17日に発出された法定研修の実施要綱をもとにいくつかご紹介します。


その変更点を理解するために確認しておきたいのは、2021年度の介護保険制度改正の骨子です。なぜなら、法定研修は、介護保険制度改正のポイントに準拠した人材育成を行うことも重要なミッションの1つだからです。


2021年度の改正法の名称は、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」でした。つまり介護保険制度では、地域共生社会の実現を目指して、今まで以上に地域包括ケアシステムの深化を求められることになった、といえます。


背景を理解したうえで今般の法定研修の実施要綱を改めて一読すると、地域共生社会に関する内容が随所に導入されたことが分かります。ただし、導入科目の名称は、研修課程によって異なります。


地域共生社会に関する科目では、介護保険法以外の法律や、他の職種との連携、相互理解も学びます。現行の研修カリキュラムで学んでいる他施策は生活保護施策、障害福祉施策、老人福祉施策ですが、新カリキュラムには次の施策が加わります。


○ 難病施策


○ 生活困窮施策


○ 仕事と介護の両立支援施策


○ ヤングケアラー関連施策


○ 重層的支援体制整備事業関連施策


その広がりは、単に被保険者が利用する他法他施策を幅広く学ぶということにとどまりません。支援対象の視野を広げるという意味もあります。

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介護支援専門員は、介護保険制度の被保険者である要支援・要介護高齢者への支援を中心としつつも、その家族などにも一層目を向けるということです。なぜなら、介護支援専門員は、自宅を訪問し、まさに生活の場に身を置きながら、高齢者の生活を支える業務特性がありますが、支援プロセスでは世帯にいる方も知ることとなります。


例えば、ケアラーは介護が必要な方と対になって存在しています。介護を受ける方の相談に応じる介護支援専門員は、ケアラーに最も出会いやすい立場にいるといえます。介護支援専門員が直接支援することもあるかもしれませんが、むしろ発見し、つなぐ機能に期待がかかります。


介護支援専門員は、地域共生社会の実現においてなくてはならない存在ですので、新カリキュラムで強化される内容として導入されました。


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