介護施設・事業所の経営の動向を把握する厚生労働省の調査で、その厳しい状況が報告された通所介護 − 。福祉医療機構(WAM)が先月に公表した調査レポートでも、同様に苦境が伝えられている。【Joint編集部】
改定で基本報酬が引き上げられたにもかかわらず、赤字の事業所が増加しているという。
WAMが貸付を行っている事業所でみると、その割合は昨年度で46.5%。前年度から4.6ポイント上昇していた。「およそ2つに1つの事業所が赤字という厳しい状況」。WAMはそうまとめている。
要因としては、売上が下がったことと経費が膨らんだことの両面に触れた。
売上面では、利用率の低迷や入浴介助加算の算定要件の変更、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う特例の見直しなどを指摘。利用率低迷の背景については、コロナ禍に伴う高齢者の自粛傾向をあげるとともに、「事業所数が飽和状態にあるのかもしれない」との見方を示した。
一方の経費面では、人件費の上昇や光熱費の高騰などを列挙。「ウクライナ情勢もあり光熱費は更に上がっている。今年度決算では経費率がより一層上昇する可能性がある」と分析している。
この調査は、WAMが貸付先の通所介護事業所を対象に実施したもの。全国5681事業所の昨年度決算の内容などを分析した結果だ。
WAMは調査レポートの中で、「今後も利用率が伸び悩むとは言い切れないが、足元の状況を踏まえて事業計画を策定して経営改善を図ることが必要」と説明。要介護1と2の高齢者へのサービスを市町村の総合事業へ移す案が議論されていることを踏まえ、「今後の制度変更リスクにも備えておく必要がある」としている。
厚労省が今月1日に公表した「経営概況調査」では、通所介護の利益率が下がっていることが明らかにされていた。昨年度は1.0%にとどまり、前年度から2.8ポイント低下。全サービス平均(3.0%)を大きく下回っていた。