介護施設の人員配置基準緩和、組合調査で多数の慎重論 NCCU「テクノロジー活用に反対なわけではない」
ICTやセンサー、ロボットといった新たなテクノロジーのフル活用とあわせて介護施設の人員配置基準を緩和する構想をどう捉えているか?
全国の介護職員でつくる労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」が今月、組合員にこう尋ねた調査の結果を新たに公表した。【Joint編集部】
複数回答で考えを聞いたところ、やはり慎重な意見が目立つ形となった。
最も多かったのは、42.4%の「安全性が確保できなくなる」。以下、「サービスの質が低下する(41.3%)」「突発的な事故や救急搬送の対応が心配(37.9%)」と続いた。
一方で、次のような答えも少なくなかった。
○ デジタル化と同時に人材確保も進めて欲しい=37.6%
○ 故障した時の対処法が分からない=23.0%
○ 会社がルールを決めて詳しく説明して欲しい=20.5%
○ ICTなどを使える人材を育成する時間がない=20.1%
NCCUの村上久美子副会長は自由記述で寄せられた意見も踏まえ、「反対ばかりということでは決してなく、テクノロジーの活用を前向きに捉えている介護職員は多い。懸念される課題が解消されるのなら進めて欲しい、と思っている人も沢山いる」と説明。「利用者も職員も安心して活用できるシステム、体制の構築がまずは必要。国は介護現場の声を積極的に聞いて丁寧に対応を進めて欲しい」と述べた。
この調査は、今年の3月から4月にかけて行われたもの。月給制で働くNCCUの組合員3935人から有効な回答を得ている。
「あなたの事業所の人員配置基準に問題はないか?」との質問に対し、「問題あり」と答えた人は33.5%。その理由は多い順で、「ギリギリのローテーションだから(52.6%)」「常に時間に追われているから(50.7%)」「管理者がケアに多く入っているから(40.5%)」となっている。