特養の経営者らで組織する「全国老人福祉施設協議会」が5日に厚生労働省へ提出した要望書 − 。次の2024年度の介護保険制度改正に向けたもので、論点の1つとなっている居宅介護支援に利用者負担を導入することの是非にも言及している。【Joint編集部】
老施協はこの中で、「介護が必要になった方がいつでもどこでも誰でもサービスを使えるようにするために、全額公費が望ましい」と主張。現行の10割給付を維持するよう促した。
一方で、「しかしながら、特養では介護支援専門員が人員配置基準に含まれていることから、入所後は実質負担していることになるため、公平性の面から議論は必要」と持論を展開。「例えば、仮に自己負担を導入する場合は、加算の有無で費用に差が出ることのないよう、1割負担ではなく定額制とすることも考えられる」と提案した。利用者負担の導入に断固反対するスタンスはとらず、何らかの形で具体化することを容認した格好だ。
居宅介護支援に利用者負担を導入する案は、過去の制度改正の際に何度も俎上に載せられてきたもの。右肩上がりの介護費の抑制を図るため、財務省や経済界などが繰り返し実現を訴えてきた経緯がある。これまで見送り続けてきた政府が、次の制度改正でどう判断するかが大きな焦点。大枠の方針は今年の年末に決まる見通しだ。
老施協はこのほか要望書で、ケアマネジャーの資格更新の研修を見直すことも求めた。
「研修負担がその必要性や効果に比して過大だという声が寄せられている」と指摘。厚労省に対し、「負担の軽減を図って欲しい」と呼びかけた。