特別養護老人ホームの経営者らで組織する「全国老人福祉施設協議会」は5日、次の2024年度の介護保険制度改正に向けた要望書を厚生労働省へ提出した。【Joint編集部】
要介護1、2の高齢者に対する訪問介護や通所介護を市町村の「総合事業」へ移管する構想について、反対の立場を改めて表明。「地域包括ケアシステムの弱体化を招く」と異論を唱えた。
この構想は、財務省や経済界などが繰り返し具体化を求めているもの。右肩上がりの介護費の抑制につなげる狙いがある。次の制度改正をめぐる大きな論点の1つだ。
老施協は今回の要望書で、「要介護1、2といってもその状態像は千差万別」と指摘。「一概に介護給付の対象から外すことは難しい」と主張した。あわせて、
○ 総合事業による”従前相当”以外の訪問型サービス、通所型サービスを展開している市町村は少ない
○総合事業の上限額のルールにより市町村で利用抑制の動きが生じる
などの問題を提起。「総合事業への移管が利用者にとってプラスになることはない」と断じた。
また、「介護事業者側としても、サービスを介護給付で提供する場合と総合事業で提供する場合とでは、後者の方が得られる報酬・委託料が少なくなる場合がほどんと」と説明。「現在、適正収支差額を得られていない事業所などは閉鎖・休止に追い込まれ、自治体から通所介護が消えるなど、地域包括ケアシステムの弱体化を招く」と訴えた。