物価高騰による食材費の値上げ分をカバーするため、介護施設・事業所に補助金を支給する取り組みが群馬県渋川市や宮城県仙台市で始まる。【北村俊輔】
国内外の要因で食材費が顕著に上がっているが、介護施設・事業所はコスト増をそのまま利用者負担に転嫁することが難しい。結果として経営が厳しくなるほか、苦渋の決断で食事の質を下げざるを得なくなる可能性も指摘されている。
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今回の取り組みはこうした事態を避けることが目的。両市は今年度の補正予算案に具体策を盛り込んだ。
渋川市は一般会計で約1540万円を計上。市内の入所・入居系63施設と通所系60事業所、あわせて123ヵ所(定員3615人)に補助金を出す。特養や老健、有料老人ホームなどは1人あたり6000円、通所介護や通所リハ、小規模多機能などは1人あたり2000円。支給は9月中ごろとなる見通しだ。
一方、仙台市は一般会計で約2億5470万円を計上した。対象は市内の入所・入居系、通所系など851ヵ所(定員約2万5000人)。加えて、高齢者向けの配食サービス事業者にも補助金を支払う。8月頃の執行を目指すという。
今月7日の記者会見で補正予算案を公表した仙台市の郡和子市長は、施策の狙いについて「物価が高騰するなか、介護施設などで利用者負担を増やすことなく栄養バランスや量を保った食事を提供するため」と説明。同市の健康福祉局高齢企画課の担当者は、「仙台市では今冬に、燃料費の高騰分を補填するための補助金も介護施設などに支給している。今回も同様のスキームを活用するため、実施はスムーズにいくのではないか」と話した。