厚生労働省は9日の社会保障審議会・医療保険部会で、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」について、現在検討を進めている見直し案が実現した場合の影響額の試算を公表した。加入者1人あたりの平均保険料が、2024年度から年間で5300円増加するという。【Joint編集部】
国の見直し案では、高所得者の保険料の上限額を年80万円へ引き上げ、現行から14万円増額。あわせて、中所得者が収入に応じて支払う保険料も引き上げる。対象は年収153万円超の人で、全体の約4割となる見込みだ。
また、子どもを生んだ人に支給する「出産育児一時金」の増額に向けて、財源全体の7%を後期高齢者医療制度から拠出する新たな仕組みも導入する。試算では、現行で42万円の一時金を47万円まで引き上げるケースを想定。これら全ての見直しが実現すると、75歳以上の1人あたりの平均保険料は年8万7300円になると算出した。
もっとも、保険料の増加額は年収の多寡によって変化する。年収200万円では年3900円増、年収400万円では年1万4200円増、年収1100万円では年13万円増となる。低所得者の保険料は変わらない。
岸田文雄首相は10日の会見で、「来年度から出産育児一時金を50万円へ増額する」と表明した。このため、保険料の増加額はさらに増えることになるとみられる。