厚生労働省は5日の社会保障審議会・介護保険部会で、2024年度に控える次の制度改正の内容を描く意見書の素案を提示した。【Joint編集部】
都市部を中心に在宅の介護ニーズが更に高まっていく今後を見据え、既存の資源を活用した複合型の新たなサービス類型を創設する方針を盛り込んだ。
訪問介護と通所介護の組み合わせなどを想定。例えば、通所介護の事業所による訪問サービスの提供を可能とすることなどにより、事業者が必要に応じて柔軟に支援に入れる環境を整備する考えだ。2024年度からの創設に向けて、年内に意見書を正式決定する。
各サービスの運営基準や介護報酬などを議論する「介護給付費分科会」で、来年に新サービスの具体像をめぐる検討を行う。市町村が指定権者となる「地域密着型サービス」の枠組みに位置付ける方向で進めていく。介護報酬の水準に加えて、初任者研修をはじめとするホームヘルパーの資格をどう整理するか、ケアマネジメントのルールをどう定めるかなどが大きな焦点となる。
今回の素案には、介護保険制度を将来に渡って維持していくための“給付と負担のあり方”に関する記載は全く無い。関係者間の調整が難航しているためで、年内にどこまで議論が深まるか今のところ不透明だ。
要介護1と2の訪問介護、通所介護を市町村の総合事業へ移す案、居宅介護支援のケアマネジメントでも利用者負担を徴収する案は、年内に見送りが決まる見通し。利用者負担の引き上げ(2割負担の対象拡大)などその他の論点については、結論が年明け以降となる公算が大きい。