財政健全化の方策などを話し合う財務省の審議会は29日、鈴木俊一財務相へ提言(建議)を提出した。【Joint編集部】
2024年度に控える次の介護保険制度の改正をめぐり、要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護を市町村ごとの「総合事業」へ移す構想に改めて言及。段階的にでも移行を進めるべき、と重ねて主張した。
財政審は提言で、現場の関係者などから強い反対意見が噴出していることを念頭に、「サービスの質や量の低下を懸念する向きがある」との認識を示した。
そのうえで、市町村が地域の実情に応じてサービスの運営基準や報酬などを柔軟に決められることが総合事業の利点だと強調。「その利点を活かせば、市町村が利用者の満足度を高めるようにサービスを独自に企画・実施でき、懸念を払拭できるはず」と持論を展開した。
あわせて、「多様なサービスを活用することで、介護職員がより専門性の高いサービスに注力することが可能となる」とも指摘。「こうした努力をする前から、総合事業への移行をためらうべきではない」と訴えた。
この構想をめぐっては、現場の関係者らの抵抗で今回は実施が見送られる公算が大きくなっている。政府は年内に方針を正式決定する予定。