財政健全化の方策などを話し合う財務省の審議会は29日、来年度予算の編成に向けた提言(建議)を鈴木俊一財務相へ提出した。【Joint編集部】
政府が年末に大枠の方針を決める、2024年度の介護保険制度改正にも言及。高齢者の急増と現役世代の急減が進む今後も持続可能な制度としていくため、利用者の自己負担を引き上げるべきと重ねて主張した。
2割負担の対象者を拡大するよう要請。原則2割とすることも検討していくべきとし、「早急に結論を」と訴えた。
介護の利用者負担は現在、個々の経済状況に応じて1割から3割と定められている。2割負担が適用されるのは、単身で年収280万円以上など一定の所得がある人(*)。この所得基準を引き下げ、対象者の範囲を拡大するか否かが大きな焦点だ。
* 今年7月時点で、利用者全体のうち2割負担の対象者は4.6%、3割負担の対象者は3.6%。
もっとも、昨今の急激な物価高騰もあって自己負担を引き上げることへの慎重論は根強い。政府・与党は年内に結論を出す予定。内閣支持率が低迷していることもあり、改正は小幅に留まるとみる関係者も少なくない。
財務省は今回の提言で、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の所得基準(*)に合わせて2割負担の対象者を広げるべきと求めた。このほか、居宅介護支援のケアマネジメントでも利用者負担を徴収し始めること、老健施設の多床室の室料を新たに利用者負担とすることなども盛り込んだ。
* 後期高齢者医療制度では、単身で年収200万円以上の人などが2割負担の対象となっている。