財務省、障害福祉サービスの“構造問題”を提起 「費用抑制が不可欠」 報酬適正化など要請


障害福祉サービスの費用が著しく伸びている。財務省はそう指摘し、現行制度の問題を提起した。【Joint編集部】
23日に開催した審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)で、制度の持続性を確保するために「費用を抑制する取り組みが不可欠」と強調。事業所の利益率を踏まえた「報酬の適正化の徹底」に加え、事業者指定の厳格化や実地指導の強化、不正対策などを柱とする改革を提言した。
財務省によると、障害福祉サービスの予算は今年度(当初予算)でおよそ2.1兆円。10年前の約2倍で、障害児向けサービスに限ると3倍強となっている。社会保障費全体と比べても伸び率は高い。
財務省は予算が膨らむ背景について、「需要サイドの利用者に牽制が働きにくく、供給サイドの事業所が増えることで費用が増えやすい構造がある」と説明。報酬の適正化を含め、サービスの質の確保と一体的に改革を進めるべきと呼びかけた。
具体策としては、次の3本の柱を提言した。
◯ 事業者指定のあり方の見直し
自治体によるサービス見込量の精緻化と、それに基づく総量規制や意見申出制度の活用を進めるべき。また、安定的なサービス運営に懸念のある事業者が安易に指定されないよう、形式的な審査にとどまらない指定プロセスへの見直しも必要。
◯ 実地指導などの強化
運営指導・監査を強化し、サービスの質の改善に向けた気づきの機会を広げるべき。悪質なケースについては的確に対応できるよう、自治体による問題行為の認識強化、抑止力強化も進めるべき。
◯ 不正行為への対処
加算金制度の見直し、利用者紹介に対する利益供与への対策の強化を進めるべき。
財務省は会合で、営利法人を中心として障害福祉サービスの事業所数は増加の一途をたどっていると指摘。グループホームを運営する事業者が組織的な不正で連座制を適用された事例にも触れ、サービスの質を適切に評価する報酬体系を目指すことの重要性も強調した。