2025年4月22日
介護職の負担「ますます重く」 人手不足の中で人員基準緩和、審議会で懸念の声


厚生労働省は21日、今後の介護保険制度の改正を議論している審議会(社会保障審議会・介護保険部会)を開催した。【Joint編集部】
2040年に向けてサービス提供体制はどうあるべきか。これをテーマとする検討会で先月にまとめた報告書を紹介。その内容について、有識者で構成する委員の考えを聞いた。
主に地方を中心として各サービスの運営基準を弾力化する案が盛り込まれたことについて、委員の意見が分かれた。人材も含めて限られた資源を有効に活用していく方向への賛意が示された一方で、副作用を心配する声もあがった。
全国市長会を代表する立場で参加した香川県高松市の大西秀人市長は、「人員配置基準を緩和すると、特に移動にかかる負担が大きい中山間地域の訪問介護などでは、職員ひとりひとりの負担がますます重くなると予想される。人材確保が一層難しくなることが懸念される」と問題を提起。「介護報酬の体系も含めた総合的な検討を行ってほしい」と求めた。
日本慢性期医療協会の橋本康子会長は、「ただでさえ人手不足のところで基準を緩和すれば、サービスの質が低下したり職員の負担が大きくなったりする恐れがある。検討の際は注意が必要」と指摘。連合の委員(小林司総合政策推進局生活福祉局長の代理で参考人が発言)は、「基準を緩和することで、利用者や職員にしわ寄せがいくようなことはあってはならない」とクギを刺した。