論点にケアマネの独立性・中立性 老人ホームの囲い込み対策 厚労省の検討会が始動


厚生労働省は14日、ニーズの拡大に伴って施設数が増えている有料老人ホームの課題を議論する検討会の初会合を開いた。【Joint編集部】
論点の1つに、過剰なサービスを提供して利益を上げる“囲い込み”への対策を掲げた。
ケアマネジャーの独立性・中立性や入居者の選択の自由を担保し、社会保障費の使途の適切性を高める方策を話し合う。入居者を紹介する事業者のあり方を含め、運営の透明性を向上させる方策も俎上に載せる。
今後、国がどこまで踏み込んだ措置を講じるかが焦点。厚労省は関係者のヒアリングも交えて議論を深め、今年夏を目途に報告書をまとめる構えだ。
この日の会合では、介護サービスが外付けの住宅型ホームの実態を明らかにする調査の結果を報告。関連法人に所属するケアマネがケアプラン作成を担うことを入居要件とするホームが1割強、関連法人の介護サービスの利用を入居要件とするホームが3割弱にのぼると指摘した。
あわせて、およそ4人に1人のケアマネが、「ホーム側から同一法人の介護サービスを限度額まで使ってほしいと要請された」と答えたという調査結果も提示した。
一方で、民間の創意工夫で高齢者らのニーズに応えているホームの役割の重要性も改めて説明。これまでの審議会での議論も取り上げ、「悪質な事業者は一部のみ」との見方も紹介した。
◆「強すぎる規制もよくない」
今回の会合では、有識者で構成する委員が目下の課題を踏まえて意見交換を行った。
委員からは、「囲い込みの定義は難しい。選択の自由が保障されているか、適切なケアプランが作られているかが大切」「かかりつけ医やケアマネジャーを変えないと入居できない、というケースはいかがなものか」「契約書の内容が適切かどうかが重要」などの指摘が出た。
また、「一部の悪貨が良貨を駆逐するようなことはあってはならない」「民間の活動、創意工夫の障壁となるような強すぎる規制は望ましくない」といった声もあがった。
厚労省はこのほか検討会の論点として、サービスの質の確保や虐待の防止、事故報告の仕組み、自治体の指導・監督のあり方などもあげている。