厚労省、全国一律の介護保険を転換 サービスの基準を“地域軸”で緩和 具体化を検討へ


今後、2040年を見据えて介護サービスの提供体制をどう整備していくべきか − 。この大事なテーマを論じる検討会で7日、厚生労働省は施策の方向性を描いた「中間とりまとめ(案)」を提示し、大筋で了承を得た。【Joint編集部】
全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市」など3つに分類し、それぞれの状況に合った施策を展開すると明記。高齢化の度合いや介護ニーズ、地域資源、労働力などの違いの大きさを考慮し、全国一律の制度を戦略的に転換していく方針を打ち出した。事業所・施設の運営基準や報酬にもメスを入れ、“地域軸”を織り込んだ弾力性のある仕組みに進化させる構想だ。
例えば、介護ニーズが縮小していく「中山間・人口減少地域」。厚労省は「中間とりまとめ(案)」に、事業所が様々なサービスを効果的・効率的に提供しながら存続していけるよう、「柔軟な対応を制度の壁にとらわれず講じていく」と書き込んだ。
具体策としては、人員配置基準の弾力化、事業所・施設の多機能化、事業者の協働化・連携、複数の事業所・施設による人材のシェア、タスクシフト・タスクシェアなどを列挙。一定の条件を設けたうえで、地域に残ってサービスを維持していく事業者へのインセンティブを検討する意向も示した。
一方、介護ニーズがさらに拡大していく「大都市部」については、在宅でもテクノロジーをフル活用していく青写真を掲げている。ICTやAIを用いた24時間365日の見守り、利用者のニーズに応じた包括的なサービスの提供などが考えられるとした。
厚労省は今後、こうした方向性に沿ってより詳細な議論を審議会で進めていく計画。「中間とりまとめ」は近く正式に決定・公表する。その内容は、2027年度に控える次の制度改正・報酬改定の行方にも少なからぬ影響を与えそうだ。