

新年度から介護保険の訪問系サービスの規制が変わり、技能実習や特定技能の枠組みで働く外国人の従事が解禁される。対象は初任者研修などを修了しており、原則、事業所・施設での実務経験が1年以上ある外国人だ。
厚生労働省は実際に外国人を配置する訪問系サービスの事業者に対し、書面による利用者・家族への丁寧な説明を求める考え。これと併せて、利用者と外国人の双方の保護やサービスの質の担保につなげる観点から、事業所内での様々な取り組みを求める。【Joint編集部】
※ 実務経験の要件、利用者・家族への説明の要件についてはこちらの記事で。
厚労省は今月12日、外国人を訪問系サービスに従事させる際のルール(案)を公表した。事業所内で求められる取り組みは大きく5つ。全ての事業者は、利用者・家族への丁寧な説明などに加えて、これらをしっかりと行う必要がある。
5つの取り組みのポイントは以下の通り。厚労省は今後、パブリックコメントなどを踏まえてこうしたルール(案)の細部を詰め、正式に決定する方針だ。
注)以下のポイントはJoint編集部が分かりやすさも考慮してまとめたもの。詳細は厚労省の資料で確認できる。
(1)研修の実施
利用者・家族の生活習慣や利用者の状態に配慮したサービスの提供を可能とするため、以下の内容を含む研修を行うこと。
◯ 訪問系サービスの基本事項や生活支援技術など利用者宅で実施する事項
◯ 利用者・家族・近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感など含む)
◯ 日本の生活様式
◯ 緊急時の連絡方法や連絡先の事前確認など、不測の事態や緊急時を想定した研修
(2)一定期間の同行訪問などOJTの実施
外国人が訪問系サービスを1人で適切に提供できるよう、一定期間、サービス提供責任者や利用者担当の先輩職員が同行するなど、必要なOJTを行うこと。
(3)外国人への丁寧な説明と意向確認、キャリアアップ計画の策定
以下の対応を行うこと。
◯ 業務内容や注意事項などを外国人にあらかじめ丁寧に説明し、その意向を確認する
◯ 本人と十分にコミュニケーションをとったうえで、外国人が習得すべき技能や目指すべき姿を明確にしたキャリアパスを構築するとともに、その実現に向けたキャリアアップ計画を外国人と共同して策定する
◯ 策定したキャリアアップ計画は当該外国人とも共有する
(4)ハラスメント対策
以下の対応を行うこと。
◯ ハラスメントを未然に防止するための対応マニュアルの作成・共有、管理者らの役割の明確化、ハラスメントが発生した場合の対処ルールの作成・共有、利用者・家族への周知
◯ ハラスメントが実際に起こった場合の対応として、当該ルールの実行、外国人が相談できる窓口の設置やその周知
(5)現場で不測の事態が発生した場合などに対応するためのICTの活用を含めた環境整備
以下の対応を行うこと。
◯ 緊急時の連絡先や対応フローなどをまとめたマニュアルの作成
◯(1)の緊急時を想定した研修の実施
◯ 緊急時に他の職員が駆けつけられる体制の確保
◯ サービス提供記録や申し送りについて職員全員で情報共有する仕組みの整備
上記対応については、業務負担の軽減や不測の事態が起きた際に適切に対応できるようにする観点から、コミュニケーションアプリの導入などICTの活用が考えられる。