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2025年3月13日

【結城康博】施設ケアマネは資格不要にすべき! 規制緩和で国家資格者であれば可に

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《 淑徳大学総合福祉学部 結城康博教授 》

ケアマネジャー不足が深刻だ。いまや全国的に顕在化しており、介護業界の喫緊の課題となっている。【結城康博】

現在、ケアマネ不足は主に在宅介護(居宅介護支援)の文脈で論じられがちだ。ただ、ケアマネジメントを内包する施設でも大きな課題となっている。


そこで、私は規制の緩和を提唱したい。施設ケアマネは原則として、社会福祉士、介護福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師などの国家資格さえ有していれば、一定の研修を経たうえで、業務を担えるようにしてはどうか。


◆ 業務が重なり合う2つの専門職


現行の人員配置基準では、特養や老健、介護付きホームなどにケアマネジャーの配置が義務付けられている。もし配置できなければ、減算などの対象となって施設の経営に大きな影響を及ぼす。


厚労省の調査結果によると、こうした施設に従事するケアマネは2022年度で5万8452人。居宅介護支援(11万1706人)より大幅に少ないのが実情だ。近年、施設ケアマネを希望する人材は少ない。5年後、10年後にはより深刻な事態に至るだろう。

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私は特養、老健、介護付きホームなどの施設長に話を聞いた。施設ケアマネと生活相談員(ソーシャル・ワーカー)の機能・役割が不明確なため、彼らは人事マネジメントに苦労しているという。


少し大雑把な言い方になるが、施設ケアマネの業務は入所者のケアマネジメントに関することで、生活相談員の業務は家族との調整や入居者の相談に関することだ。こうした区分けはあるものの、現場では相互が重なり合いながら仕事を担っている。そう単純に区分けできないのが実情だ。


このため、施設ケアマネと生活相談員の役割を合わせた業務内容に改めつつ、入居者のケアマネジメントの担い手については、必ずしもケアマネ有資格者でなくても可能とすべきではないか。


ただし、現行基準の通り両者の配置は原則必要と考える。ケアマネジメントの担い手1名(ケアマネ有資格者でなくとも)、生活相談員1名という2人以上の体制は必要だ。これは人員削減を意図したものではない。また、施設でのケアマネジメントを不要と考えているわけでもない。

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◆ より効率的な人材配置を


介護施設の生活相談員は、社会福祉士、介護福祉士、社会福祉主事、その他の国家資格者が担っている。このためケアマネ業務も、これらの国家資格者であれば可能とすべきではないだろうか。なお、少なくとも1回の研修を義務付けるべきと考える。


こうした規制緩和は、ケアマネ不足を解消する処方箋の1つになるだろう。実際に地域包括支援センターでは、社会福祉士、保健師、看護師が要支援者のケアマネジメントを担っている。


今後、ケアマネ不足がますます深刻化することは間違いない。従来の規定を踏襲していては、問題が解決に向かわない。ここで思い切った規制緩和を決断し、より効率的な人材マネジメントの実現を図るべきである。


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