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2025年3月11日

【壷内令子】新人ケアマネの実務研修、受け入れ事業所が成長できる理由 現場が注力する大きな意義

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《 株式会社ウェルネス香川・壷内令子代表取締役 》

今年度の介護支援専門員実務研修が全国各地で開催されています。【壷内令子】

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今年度(第27回)の試験は、受験した5万3699人のうち1万7228人が合格しました。合格率は32.1%で、前年度(第26回)の21.0%を大きく上回りました。今後も高い合格率が続き、合格者数は増加する見通しです。


合格者が増えるのは喜ばしいことですが、その一方でケアマネジャーの質の確保が重要な課題となるでしょう。


ケアマネジャーとして働くためには、ケアマネジメントの基本や責務をしっかりと理解し、実務に必要な知識を身につけなければいけません。そのための第一歩が実務研修です。この研修で十分な知識を習得できない人は、戸惑いや不安を抱えたまま現場に出ることになります。実務研修は、ケアマネジャーとしての土台を築く非常に重要な研修と言えるでしょう。


◆ 実習生の嬉しい反応


実務研修のカリキュラムでは、居宅介護支援事業所での15時間以上の見学実習(OJT)が必須となっています。特定事業所加算を算定している事業所が実習生を受け入れ、そこの主任ケアマネジャーが指導を担当することになります。


今回は、この見学実習の重要性を強調させていただきたい。実習生にとって、ケアマネジャーの仕事を具体的にイメージできる貴重な機会だからです。


実習生の中には、研修後すぐにケアマネジャーとして働く意思のない方もいます。受け入れ事業所にとっては、年度末の忙しい時期に実習の準備や指導などの対応にあたらなければならず、負担の重さを感じることもあるでしょう。


私の事業所も今年度は6名の実習生を受け入れ、4名の主任ケアマネジャーが指導を担当しました。改めて感じましたが、日々の業務に加えて指導も行うことは決して楽ではありません。ましてや、実習生の多くが「当面ケアマネジャーになるつもりはない」と言うような状況では、やりがいも感じにくいのが実情です。


ですが、嬉しいこともありました。研修を終えた実習生の中に、「少し考えが変わった」「将来的にはケアマネジャーになってもいいかもしれない」と意欲をみせる方がいたのです。


また、指導を担当した主任ケアマネジャーからも前向きな声が聞かれました。感想を尋ねると、「自分も多くの学びや気付きがあった」「教えるためには自分が理解していなければならない。改めて学習するきっかけになった」と答えてくれたのです。自分の仕事について説明し、その中で真剣に取り組んでいる姿を実習生に見てもらうことが、やりがいやモチベーションの向上につながったようでした。

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◆ 業界全体の未来を担う機会


ともすると「面倒くさいだけ」と思われがちな実務研修の指導ですが、実は受け入れ側にとっても相応のリターンがあるんです。


実習生だけでなく、主任ケアマネジャーにとっても自己成長の絶好の機会となり、本来の役割を存分に発揮できる場となります。出会いや発見もあり、普段と違う仕事の楽しさ、新鮮さを感じることができるでしょう。


事業所にとっても、新たな人材の発掘や職場の活性化につながるメリットがあります。実習生の中に、「指導してくれたあの主任ケアマネジャーがいる事業所で働きたい」と思う方が出てくるかもしれません。新たな担い手を確保する絶好のチャンスになるのです。ICTを使った効率的な業務の進め方や、働きやすい職場環境を見てもらうのも良いでしょう。


実務研修はケアマネジャーとしての第一歩。それだけに、業界全体の未来を担う大切な機会と言えるのではないでしょうか。


この研修に力を入れることは、受講者、主任ケアマネジャー、事業所、業界全体に良い影響をもたらすでしょう。ケアマネジャー不足が深刻な今こそ、現場が積極的に取り組むべきことの1つではないでしょうか。


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