政府は11日、新型コロナウイルスの流行の第8波に備えて対策の新たな枠組みを固めた。【Joint編集部】
感染拡大の深刻さに応じて、都道府県が「対策強化宣言」や「医療非常事態宣言」を出せるようにする。この日の新型コロナウイルス対策分科会に示し、大筋で了承を得た。
政府の新たな枠組みでは、今後の状況を次の4つに分ける。オミクロン株の特性を考慮し、外来も含めた医療資源の逼迫の度合いを主な指標としていく。
【感染小康期=レベル1】
感染者数が低く推移しているか、徐々に増加している。
※ 医療資源の負荷
外来・入院ともに負荷は小さい。病床使用率は概ね30%未満。
【感染拡大初期=レベル2】
感染者が急速に増え始める。
※ 医療資源の負荷
発熱外来の患者数が急増し、負荷が高まり始める。救急外来の受診者数も増加。病床使用率も上昇傾向。病床使用率は概ね30%〜50%。
【感染拡大期=レベル3】
今夏並みかそれを上回る感染者が発生。
※ 医療資源の負荷
外来医療の負荷が高まり、発熱外来や救急外来に多くの患者が殺到する。重症化リスクの高い人がすぐに受診できない事象が発生。救急搬送困難事例が急増する。入院患者も増加して入院医療の負荷が高まる。病床使用率は概ね50%超。
【医療逼迫期=レベル4】
想定を超える膨大な数の感染者が発生。
※ 医療資源の負荷
膨大な数の感染者に発熱外来や救急外来で対応しきれなくなり、一般の外来にも患者が殺到する。救急車を要請しても対応できず、救急搬送困難事例の件数を把握できない状態が生じる。通常医療も含めた外来医療全体がひっ迫し、機能不全の状態。入院医療がひっ迫する。病床使用率は概ね80%超。
こうしたレベルに応じ、都道府県はそれぞれ住民に協力を求めていく。レベル3に達したと判断した場合、「対策強化宣言」の発出が可能。住民に対し、例えば感染リスクの高い場所への外出を控えること、大人数の会食への参加を見合わせることなど、できる範囲で慎重な行動をとるよう呼びかけていく。
レベル4に達したと判断したら、今度は「医療非常事態宣言」を出せる。外出・移動を必要不可欠なものに限るなど、接触機会を減らすより強力な要請をすることが可能。飲食店の時短・休業は今のところ想定されていない。
後藤茂之担当相は会合後、「対策強化宣言の手続きなど詳細は速やかに都道府県に示していく」と説明。「現在、全国で新規感染者数が増加傾向にあり、地域によっては大幅に増加している。今後の推移に注意が必要。国民の皆様には、社会経済活動を維持しつつも、オミクロン株対応ワクチンの速やかな接種、基本的な対策の徹底などをお願いしたい」と述べた。