新局面・介護保険 2040年のサービス体制の議論開始 地域差に応じた基準づくりなど焦点
介護業界は大きな曲がり角を迎えた。これまで折に触れて節目だと語ってきた2025年が到来。今年から新たな局面に移ったと捉えるのが自然だ。【Joint編集部】
まず国が動き始めた。厚生労働省は9日、2040年のサービス提供体制のあり方をテーマとする検討会の初会合を開催。新年早々、“次の節目”に標準を合わせた議論をスタートさせた。
検討会の大きなテーマとしては、各地域の状況に応じたサービスモデルの構築、各地域に合う的確な支援策の立案をあげた。
高齢化の進み具合や人口減少のスピードは地域によって様々で、今後はその違いが一段と大きくなる。介護ニーズは都市部で拡大の一途をたどるが、逆に過疎地では縮小していく。労働力、地域資源、社会環境などの地域差もより顕著になる。
厚労省は会合で、全国一律の施策だけでは対応しきれないとの認識を基に、
◯ 既に介護ニーズが減少局面に入っている「中山間・人口減少地域」
◯ 介護ニーズが2040年以降も拡大する「都市部」
◯ 介護ニーズが当面拡大し、その後減少に転じる「一般市」
の3類型を想定して議論を進めると説明。「時間軸と地域軸の両視点が必要」と強調した。それぞれの地域で過不足のない体制をどう作るかが大きな課題となる。
論点は多岐にわたるが、限られた貴重なリソースを効率的に活用する方策が1つの軸になりそうだ。
業務の切り出し、役割分担、テクノロジーの導入による生産性向上だけでなく、事業者間の連携・協働、研修の共同実施、物品の共同購入、請求事務のアウトソーシングなどが俎上に載る。
あわせて、各サービスの全国一律の運営基準を地域の実情に応じて緩和することの是非も論じられる。施設・居住系だけでなく在宅系、特に訪問系でテクノロジーをどう活かすかも焦点になりそうだ。
会合では委員から、「2040年に向けては思い切った手を打たないと対応できない」「運営基準の弾力化が必要」「介護職員の更なる処遇改善が不可欠」などの意見が出た。厚労省は今年春を目途に中間的なとりまとめを行う方針。