2025年1月9日
昨年の介護事業者の倒産、過去最多172件 小規模な訪問介護など急増
昨年1年間の介護事業者の倒産は172件で過去最多を大幅に更新した。東京商工リサーチが9日に公表した新たな調査レポートで明らかになった。【Joint編集部】
前年を50件上回った。172件の倒産のうち、資本金1千万円未満が86.6%、職員10人未満が83.1%。多くが零細事業者となっている。
人手不足の悪化、熾烈な人材確保や利用者獲得の競争、長引く物価高騰などが背景にある。人材確保の競争は他産業も含めて激化しており、介護事業者の経営環境は一段と厳しくなっている。
介護事業者の倒産をサービスごとにみると、最も多いのは訪問介護。全体のおよそ半数を占めた。通所・短期入所や有料老人ホームなども増えている。
訪問介護の倒産は、職員10人未満が95.1%。大多数が零細事業者だった。ホームヘルパーの不足、あるいは高齢化、今年度の基本報酬のマイナス改定、物価高騰などが影響しているとみられる。
大手が運営する事業所、集合住宅に併設されている事業所に人材が集まり、地域に根ざした小規模な事業所、過疎地の事業所が追い込まれるケースも少なくない。介護難民や介護離職の問題が広がる懸念が強く、東京商工リサーチは「事態の深刻さが深まっている。効率化や協働化などの支援が急務」と指摘している。