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2025年1月6日

【壷内令子】ケアマネの業務分類は確かな一歩 でも地域に丸投げでは解決しない

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《 株式会社ウェルネス香川・壷内令子代表取締役 》

ケアマネジメントをめぐる課題を話し合う厚生労働省の検討会の「中間整理」が公表されました。今回は、この中に示されたケアマネジャーの業務の4分類について、現場で働いている者として思ったことを率直に書きたいと思います。

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◆ 小さな希望の光


「真っ暗なトンネルの中を走ってきて、遠くに小さなろうそくの灯りが見えてきた」


これまで多くの課題が放置されていると感じていた現場のケアマネたちにとって、この検討会はそんな風に思えるものだったのではないでしょうか。


もちろん、意見が分かれる部分はあるでしょう。しかし、課題の解決に向けた確かな一歩だと感じています。少なくとも、国がこの問題を正面から取り上げ、見て見ぬふりをしなかったことには感謝しています。


◆「市町村主体の協議」の曖昧さ


とはいえ、まだ多くの課題が残っていると言わざるを得ません。検討会の「中間整理」で示された業務分類は表の通りです。

最も重要な課題は、このうちの「他機関につなぐべき業務」をどうするかでしょう。「中間整理」には、高齢者のニーズに応えられる支援体制を「市町村が主体となって協議する」と記されました。


ただ、その具体的な進め方は不明確なまま…。丸投げ感が否めません。既に市町村主体で動いているところもある一方で、多くの地域がまだ手つかずの状態にあることは明らかです。


この問題は、リーダーシップを発揮できる人が地域にいるかどうかにも大きく左右されます。地域ごとに実情や課題が異なるなか、役割分担が曖昧だと関係者が責任を押し付け合う事態にもなりかねません。


このため、国には具体的なガイドラインを早急に示して頂きたいと思います。「誰が」「何を」「どこまで」「どのように」「いつまでに」。こうした進め方を明確にしない限り、少なからぬ地域で検討が十分に進まないでしょう。


結果として、現場のケアマネに大きな負担がかかる状況は変わっていきません。ケアマネがそれぞれ業務に線を引く傾向が強まると、今度は利用者・家族が苦境に陥ります。ここまで議論が進んだ今こそ、もっと踏み込んだ具体的な指針が必要ではないでしょうか。

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◆ 現場からも行動を


一方で、現場のケアマネ自身が動くことも大切です。


まずは我々が、「地域で対応しているシャドーワークは何か」「行政に解決を求めたいことは何か」などを、具体的に出し合える場を作ることが重要です。主任ケアマネが中心となり、市町村に具体的な情報を伝え、強く訴える体制を整えるだけでも、変化のきっかけになるでしょう。


地域の課題は、自分たちも自ら動かなければ解決に向かいません。国や市町村に任せきりでは、いつまでたっても良い方向へは進まない。だからこそ、我々ケアマネが主体的に「この状況を変えるんだ」という強い気持ちを持つことが大切です。


報酬の伴わない面倒なことかもしれません。ただ、主体的な行動が結果的に私たちの負担を軽減するはずです。より良い労働環境を作ることにつながるはずです。私たちの小さな一歩こそが、未来の大きな変化を生むと信じています。


私はその信念を胸に、これからも行動を続けていきたいと思います。


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