日本介護支援専門員協会は28日、居宅介護支援の現行の10割給付を今後とも維持していくよう訴える要望書を厚生労働省に提出した。居宅のケアマネジメントでも一定の利用者負担を新たに徴収する、という見直し案に断固反対の姿勢を改めて明確に示した形だ。【Joint編集部】
今回の要望書は、介護サービスの事業者や専門職などで組織する他の9団体と連名で出された。特養や老健、グループホームの団体、介護福祉士の団体などが名を連ねている(*)。
* 要望書は日本介護支援専門員協会、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本介護福祉士会、日本認知症グループホーム協会、全国コープ福祉事業連帯機構、「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会、日本在宅介護協会、市民福祉団体全国協議会、JA高齢者福祉ネットワークの10団体の連名で提出された。
居宅介護支援で利用者負担を徴収する案は、介護費の抑制に向けて財務省などが繰り返し具体化を迫ってきたもの。2024年度の介護保険制度改正をめぐる論点の1つだ。政府は年内に結論を出す予定で、水面下の調整も近く佳境を迎える。
日本介護支援専門員協会は要望書で、制度発足からこれまで居宅介護支援があえて10割給付とされてきたことの意義について、法令を引用しつつ次のように説明した。
「要介護の利用者に対し、個々の解決すべき課題、その心身の状況や置かれている環境などに応じて、保健・医療・福祉にわたるサービスが、多様な提供主体により総合的かつ効率的に提供されるようにすること」
そのうえで、こうした理念の重要性は「今日も薄らいでいない」と主張。「居宅介護支援は介護サービスを利用するために行う支援。セーフティネットとして全ての利用者が公平に、過不足なく支援を受けられる環境を維持していくことが重要」と強調した。
あわせて、利用者の自立支援を推進する視点にも言及。「居宅介護支援によってケアプランが作成され、利用者に必要な介護サービスを受ける環境が整う。そのケアプランに沿って、各サービス事業者が相互調整を行い効率的に介入することで、自立支援の効果が発生する」と念を押した。
日本介護支援専門員協会はこの要望書を、2024年度の制度改正を議論している社会保障審議会・介護保険部会の部会長にも提出する方針だ。