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2024年11月7日

【山口宰】介護職の早期離職を食い止めろ! 若手のモチベーションを高める3つの方法

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《 社会福祉法人光朔会オリンピア・山口宰常務理事 》

介護の業界に限らず、多くの組織や企業で若手が直面するのがモチベーションの低下。モチベーションが下がることで、仕事に対する責任感が低下したり、将来のビジョンを描けなくなったりして、最悪の場合は離職につながってしまいます。


そこで今回は、介護現場の若手職員を成長させ、離職を防ぐカギとなる「モチベーション向上」のアプローチについて考えてみたいと思います。【山口宰】

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◆ 辞めていく若手職員


介護労働安定センターの調査結果によると、離職者の勤務年数は「1年未満」が34.4%、「1年以上3年未満」が25.5%となっています。


すなわち、離職者のうち、3年未満で離職している人が59.9%を占めているということです。人材採用が難しくなっている昨今、せっかく苦労して採用したスタッフがこれほど早期に離職してしまっているのは、非常に残念な状況です。


以前、新入職員の早期離職は、「とりあえず現場に入れて仕事を覚えてもらう」という名ばかりのOJTが原因ではないか、という指摘をしました


しかし、OJTを無事に終え、「さあこれからがんばろう」という時期の若手スタッフも、離職が相次いでいるのはなぜでしょうか。


それは、モチベーションの低下が原因です。モチベーションとは日本語で「動機づけ」。人が何かを行うときの「意欲」や「やる気」を引き出す内的なエネルギーのことを指します。


これは介護の業界に限った話ではなく、企業の若手社員を対象とした各種の調査結果を見ても、1年目から3年目にかけて、急激にモチベーションが低下しているというデータが出ています。


一見、最もやる気が出そうなこの時期に、若手職員たちの中で何が起きているのでしょうか? その実態を把握し、適切な対応を取ることが、人材育成を進めていくためにも、離職を防ぐためにも重要なポイントになります。

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◆ モチベーション低下の原因とは?


なぜ、多くの若手職員が、最初は意欲にあふれていたはずの介護の仕事で、モチベーションを失ってしまうのでしょうか。彼らが直面する、介護現場ならではの課題に目を向けてみましょう。

① 業務の負担とストレス


介護の現場では、単なる「仕事」以上の責任が伴います。直接的な介助による身体的負担や、自分の感情のコントロールが求められる精神的負担に加え、利用者の「命を預かる」という大きなプレッシャーと向き合うことになります。


また、早出、遅出、夜勤といったシフト制の勤務や人間関係によるストレスもあり、若手職員はやりがいよりも大きな負担を感じてしまう可能性があります。

② 仕事のやりがいと成果の見えにくさ


「ありがとう」という言葉、利用者さんの小さな変化 − 。それが介護職にとって何よりの報酬です。


しかし、高齢者介護の成果は目に見えにくいため、自分の仕事に対する意義や価値を確信できないことも少なくありません。そのため、「本当にこの仕事は役立っているのだろうか」という不安を抱え、気づかぬうちにモチベーションを低下させてしまうことがあります。

③ 成長の実感と将来への不安


定期的に目標設定がなされるOJT期間が終わり、日々の業務が一通りこなせるようになると、若手職員が自分の成長を実感する機会は減少しがちです。


入職当初は、新しいスキルを覚えるたびに達成感を味わえますが、その後の成長ペースは緩やかになっていきます。明確なキャリアパスが整備されていない場合は、「これから自分はどう進んでいくのか」と悩み、モチベーションを維持できなくなる可能性があります。

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◆ モチベーション向上のための3つのポイント


それでは、どうすればこれらの課題を克服し、若手職員のモチベーションを高められるのでしょうか。具体的な3つのポイントをご紹介します。

① 目標設定で成長を可視化する


OJT期間が終了し、日々の仕事の目標が曖昧になりがちな時期には、改めて明確な短期・長期の目標を設定し、一歩ずつステップを踏んでいくようにしてみましょう。成果を「見える化」することで、成長を実感しやすくなり、やりがいを増すことができます。


スモールステップで具体的なスキルを身につけさせたり、定期的にフィードバックを行ったりすることによって、成長の状況を共有することも効果的です。

② フィードバックと成長のサポート


若手職員の成果や努力をしっかり評価し、適切なタイミングでポジティブなフィードバックを伝えることで、自己効力感が高まります。


さらに、職員の強みを活かせるキャリアパスを構築したり、研修やスキルアップの機会などのサポートを提供したりすることで、「組織が自分の成長を支援してくれている」という安心感と自信を持ってもらうことができます。

③ コミュニケーション強化と関係性の構築


チーム内のコミュニケーションを活性化し、職員同士が支え合える環境を整えることも大切です。ビジョンを共有し、リーダーや同僚と一体感を感じられる活動や、問題解決に取り組む機会を増やすことで、職員の「自分はチームの一員だ」という帰属意識が育まれます。


日常的なコミュニケーションや1on1を通じて、職員が気軽に悩みを相談できる環境づくりをしたり、良好な人間関係を構築したりすることも欠かせません。

このように、介護現場での若手職員のモチベーション低下には複数の要因が絡んでいるため、ただ単に「がんばろう」と声をかけるだけでは解決することはできません。早期の離職を防ぎ、将来的な成長につなげるためにも、モチベーションに関する理論や研究を活用し、個々の職員に合わせたアプローチを実践していきましょう。


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