【解説】全ての介護事業者が対応必須 GビズIDの取得方法と今後の展望=小濱道博
全ての介護事業者は、社会福祉法人やみなし指定の事業者なども含めて、ほぼ例外なく「GビズID」の取得が必要不可欠となった。【小濱道博】
まず介護保険最新情報Vol.1315。生産性向上の取り組みに関する実績データの報告方法について、
◯ 原則として「電子申請・届出システム」によりオンラインで提出すること
◯ 今年度の実績データは来年3月31日までに提出すること
◯ 電子申請・届出システムの利用にあたっては、ログインのために「GビズID」の取得が必要になること
などが通知された。
また、今年度から全ての介護事業者に義務化された経営情報の報告に使う「介護事業財務情報データベースシステム(仮称) 」も同様だ。ログインのために、「GビズID」が必要だと告知されている。
では、この「GビズID」とは何か。アカウントの作成・運用の方法などは、この秋にも公表される運用マニュアルで通知される予定となっている。ここでは、私自身が実際にオンライン申請により取得を済ませたので、その内容をお伝えする。
◆ 2種類の申請方法
今回、介護事業者側で取得すべきは「GビズIDプライム」のアカウントである。申請方法は2種類用意されている。
1つはオンライン。手続きを進めるためには、法人代表者のマイナンバーカードと専用アプリをインストールしたスマートフォン、そしてメールアドレスが必要だ。パソコンの画面上で基本事項を入力し、メールアドレスを登録すると確認メールが送られてくるので、これを認証する。
認証後のパソコン画面には、スマートフォンで読み取るためのQRコードが示される。これをスマートフォンのアプリで読み込むと、登録画面が表示される。
その後、マイナンバーカード上にスマートフォンを置いてカード情報を読み込む。その内容がパソコンで入力した基本情報と突合され、認証完了となる。
最後に、パスワードを登録してオンライン審査が完了する。なお、IDは登録に使ったメールアドレスである。
もう1つの方法は書類の郵送。印鑑証明と申請書を送付し、IDとパスワードを取得する。
これには2週間以内という時間を要する。オンライン申請の場合、法人代表者のマイナンバーカードによる手続きが必要となるため、中規模以上の法人であれば書類申請が現実的と言えるだろう。
この「GビズID」は、ひとたび登録すれば連携している全ての行政サービスで利用できる統一アカウントである。
現時点で既に、IT導入補助金2023、介護サービス情報公表システム、電子申請・届出システム、社会保険手続きの電子申請、小規模事業者持続化補助金(一般型)申請受付システム、日本公庫ダイレクト、自治体の電子申請システムなどでも利用できる。
来年度までには、全ての自治体で介護保険制度の関連手続きが電子申請・届出システムへ移行するが、ここでも「GビズID」が必要不可欠となるであろう。
「GビズID」は現時点で利用料金がかからない。ただ、アカウント作成で利用するメールアドレスは必須である。基本的には、定期的なメンテナンスを除いて24時間365日稼働する。
◆ 会計事務所と適切に連携を
「GビズID」を使えば、データ提供の外部委任も可能である。受任者は代理で、例えば義務化される経営情報の報告を行うことができる。委任者、受任者ともにプライムIDを持つことで、GビズIDのマイページから委任手続きを行える。
例えば、契約している会計事務所に、経営情報の報告代行を任せることが可能となる。GビズIDは個人事業主である税理士も登録できる。今後は、記帳代行のような専門の代行業者も出てくるだろう。
ここで問題となるのは、経営情報の報告時期が2025年1月から3月であるということだ。この時期は会計事務所にとって、年末調整合計表や償却資産税の提出に始まり、2月からの確定申告とも重なる超繁忙期である。
そのため介護事業者にとっては、早い段階で会計事務所と適切な役割分担を進めていくことが必要である。