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2024年10月2日

【田中紘太】身寄りのない高齢者を支える難しさ 厳しい現実と向き合うケアマネジャーへの支援が必要

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《 株式会社マロー・サウンズ・カンパニー|田中紘太代表 》

ケアマネジメントをめぐる課題を話し合う国の検討会(第4回)が、9月20日に開催されました。【田中紘太】

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その中で論点として、ケアマネジャーの業務のあり方やケアマネジメントの質の向上が取り上げられています。厚労省はこれまでの主な意見として、特に困難事例への対応について、

◯ 認知症や身寄りのない高齢者の意思決定支援は難しく、多くの時間を費やしている。その質の向上や権利擁護の観点から、行政がサポートできることを考えていくことが重要。

といった考え方を示しています。今回はこの件を考察したいと思います。


◆ やむを得ずケアマネが…


地域に目を向けると、身寄りがなく、在宅生活に支障をきたす高齢者が以前より増えています。このため、ケアマネジャーも様々なサポートを求められます。「これは本来業務の範囲外だ」と知りながら、仕方なく支援にあたっているケースも多いのではないでしょうか。そこまで頻度が高くなくても、実際に対応するケアマネジャーには重い負担がかかることになります。


ケアマネジャーが担うこともある本来業務以外の業務は、郵便物の受け取り、各種手続きの支援、入院・通院時の付き添い、徘徊時の捜索、部屋の片づけ、ペットの世話、雪かきなど多岐にわたります。以前の記事でも触れましたが、そもそもケアマネジャーが担うべきでない入院・入所時の身元保証、財産管理、相続に関する手続きなどを任せられるケースもあるようです。


これらの業務については、成年後見人や社会福祉協議会などへ対応を依頼することがほとんどでしょう。ただ、ご本人様がそれを強く拒否したり、金銭的な負担を避けようと断ったりすることも少なくありません。


その際、ケアマネジャーの立場としては、入院や施設入所などの際もサポートが要ることが分かっているため、必要性を必死に伝えます。しかし、やはりご本人様の同意が得られなければ手続きは進められません。結果として、ケアマネジャーらがどうしても関わらざるを得なくなってしまいます。


こうした課題には、居宅介護支援事業所だけにとどまらず、地域包括支援センターなども直面しているのではないでしょうか。やはり対策の強化が必要だと考えます。

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◆ 家族の関係性も大事な要素


そもそも、「身寄りのない高齢者」の定義自体も不明確です。ご家族・ご親族が全く存在しない方だけでなく、存在しても関係性が悪い、あるいは非常に薄い状態で、なかなかキーパーソンになって頂けないケースもあります。


連絡すると嫌悪感を持たれてしまい、ご逝去以外は一切連絡しないで欲しいと言われたこともありました。金銭管理ができなくなった時、成年後見人の申請の時、入退院の時などに連絡をとる必要性が生じても、ケアマネジャーが躊躇するケースは少なくありません。


一言で「身寄りがない高齢者」といっても、その実情は千差万別。家族構成や関係性によっては、やはりケアマネジャーらが個別に対応せざるを得なくなってしまいます。対策を検討する際には、こうした厳しい現実も念頭に置くことが必要になるでしょう。


このほか、医療行為の同意についても難しい問題が生じるケースがあります。大前提として、ケアマネジャーにご利用者様の医療同意は担えません。できるのは理解を求めること、医療機関へ必要な情報を提供し、医療・ケアチームの一員として話し合いに参加することなどですから、チームとして意思決定を支援していく形が望ましいと思います。

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◆ 身元保証会社のトラブルに注意


最後に、身元保証会社について触れさせて頂きます。最近はトラブルが多いようで、関係機関から注意喚起の案内も出ています。


以下、日本弁護士連合会が公表しているパンフレットの内容を一部引用します。

「市区町村高齢者福祉担当課・地域包括支援センターの皆様へ。身元保証等の高齢者サポート契約をめぐるトラブルに注意」

ご利用者様への注意だけでなく、行政の担当者や地域包括支援センターの職員に向けたアナウンスとなっている点に驚きました。もし、信頼する自治体などから身元保証会社を紹介された場合、安心してご契約なさるご利用者様も少なくないでしょう。


このパンフレットの本文には、

◯ 高額な契約料を求められた


◯ 内容がよく分からないまま契約してしまった


◯ 解約時にお金が返ってこなかった

といったトラブルが発生しているため注意し、関連する相談にも適切に対応するようにと記載されています。私も介護現場で、例えば施設紹介会社などから「入所の際は身元保証人が必要」と説明され、仕方なく契約させられてしまうケースを見聞きすることがあります。

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厚労省は今年6月に出した介護保険最新情報のVol.1273で、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を周知しています。この中には、「医療機関・介護保険施設などは、正当な理由なくサービス提供を拒否することはできず、入院・入所の際に、身元保証人などがいないことのみを理由に入院・入所を拒むことは不適当」と記されています。


このガイドラインは40ページを超えるボリュームですが、目下の地域の課題を踏まえた重要な視点が多く盛り込まれています。高齢者の意思決定支援に深く関わるケアマネジャーには、身元保証会社の役割や医療・介護に関わる記載などを十分に理解して頂きたい。そのうえで、ご利用者様がトラブルに巻き込まれないよう注意して頂ければと思います。


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