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2024年6月12日

【伊藤亜記】急な欠勤・退職… 介護事業所のピンチをチャンスに変える方法

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《 株式会社ねこの手:伊藤亜記代表取締役 》

「急な欠勤や休暇、退職などでシフト管理が安定せず、その調整が常に管理者の負担になっています。どうしたら良いでしょうか」。こんなご相談を介護事業者の方から頂きました。【伊藤亜記】

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急な欠勤や休暇、退職などは必ず発生してしまうもので、人を雇う限り完全に防ぐことは不可能です。問題なのは、突発的に生じるために対応が間に合わないことでしょう。お客様にご迷惑をおかけしてしまったり、他の職員に業務負担のしわ寄せがいってしまったり、様々な問題が起こります。介護事業所・施設の場合、人員配置基準違反となってしまうこともあり得ます。


そんななか、常にスムーズにシフトを調整できる体制が整っていれば、気持ちの余裕を持って対処することができるはずです。職員のスキル、お客様の状況、考慮すべき情報などをきめ細かく把握し、速やかに判断・対応できる管理体制を日頃から整えておくことが、リスクマネジメントの観点からも重要です。


そのためには、


(1)ルールの設定


(2)ルールを守る環境と風土づくり


の2点が重要になるでしょう。

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(1)ルール設定とは、休む時、辞める時のルールを決めることです。突然のやむを得ないケース以外は、原則、いつまでに、誰にどのような連絡方法で伝えるべきかを、前もって周知しておくのが良いでしょう。


もちろん原則は就業規則に基づきますが、全ての職員にきちんと守ってもらわなければ意味がありませんので、法人全体として、皆が守りやすいルールを考えていくことが必要です。


(2)ルールを守る風土づくりとは、たとえ小さな問題であっても必ずルールに沿って行動し、「決められたルールは守る!」という習慣と意識付けをしておくことです。


例えば東京ディズニーリゾートでは、小さな傷でも園内で見つけたら速やかに修繕することにより、環境美化や安全性の向上などにつなげているそうです。小さなことでも見て見ぬふりはしない − 。そのことの大切さを伝え、浸透させていく努力も大切ではないでしょうか。

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意識の面で重要なのは、職員同士がお互いに協力し、助け合う気持ちを持つことです。身勝手な行動を抑制し、「困った時はお互い様」という文化を職場内に定着させることが、管理者として重要なマネジメントと言えます。


急な欠勤が発生した場合のフォロー体制についても、ルールを明確化しておきましょう。シフトを管理している側にとっては、それだけで余裕を持てるのではないでしょうか。


「鉄は熱いうちに打て」。こんな言葉があるように、意識付けの最も効果的なタイミングは採用直後です。入社当初の前向きな時に、助け合いの意識を持ってもらうよう工夫すると良いでしょう。

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会議の機会などを使い、他の職員のために誰がどれだけサポートしてくれたのかを、皆に知ってもらうことも重要です。あわせて、1人のお客様に対して対応できる職員が複数いる体制を整備し、チームケアを徹底することも対策になります。


同僚のフォローを積極的に担ってくれた職員を皆に知らせ、褒め称え、感謝することは、職員の更なるモチベーションアップにつながります。貢献に報いるインセンティブ制度も必要なので、適切な収益管理に努めることも欠かせません。


急な欠勤や休暇、退職などのピンチを、うまくチャンスとして切り替えることができれば、職員の意識向上、職場内の協力体制の構築といった大きなリターンが得られます。介護事業者の皆さまには、管理者への十分なサポートを行いつつ、新しい事業所・施設の形を作り上げて頂ければと思います。


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