2024年6月3日
介護職の医行為、利用者との契約下で一部容認の検討を 規制改革推進会議 タスクシフト具体化を要請
政府の「規制改革推進会議」は5月31日、今年度の答申を岸田文雄首相へ提出した。より患者本位・利用者本位のサービスを実現する観点から、安全性に配慮しつつ医療職と介護職のタスク・シフト/シェアを前へ進めていくことを重ねて訴えた。【Joint編集部】
介護職員による実施が認められていない医行為のうち、例えば利用者との契約や同意など一定の条件のもとでなら実施を容認できる簡易なものがないか、改めて精査すべきと提言。利用者を支える目的の正当性、手段の相当性、必要性、緊急性が高いケースが少なからずあることも踏まえ、前向きに検討するよう促した。
今年から検討を初めて来年に結論を得る、というスケジュールで進めることも併せて求めた。
医療職と介護職のタスク・シフト/シェアは、高齢者らが必要なサービスをタイムリーに受けられる体制を作ることが狙い。今後、高齢化で更に拡大する医療・介護ニーズに応えていくためには、専門職の役割分担をより弾力化する改革に踏み切るべきという問題意識がベースにある。
規制改革推進会議は今回の答申で、医療・介護の現場を支える人材の不足が深刻化していることなどを念頭に、タスク・シフト/シェアも「喫緊の課題」と強調。「可能なものから前倒しして速やかに実行することが重要」と呼びかけた。
具体策としてはこのほか、現行制度のもとで介護職員ができること、できないことを改めて整理すべきと主張。「介護職員は実施不可」とされている医行為であっても、現場では「リスクが低い」「専門性を要しない」と認識されているものが一部にあると指摘した。
また、喀痰吸引等研修の講義のオンライン化も要請。一定期間内に集中的に受講する必要はなく、日常業務の空き時間で柔軟に受講できる取り扱いの明確化も求めた。