ケアマネ法定研修、オンデマンド受講の普及を求める声相次ぐ 協会は環境整備を推進
様々な課題に直面しているケアマネジメントの制度を議論する厚生労働省の検討会で、介護支援専門員の法定研修のあり方が焦点の1つになっている。【Joint編集部】
ケアマネジャーの負担軽減が必要、という認識は既に多くの関係者が共有している。
検討会では有識者から、全国一律の講義の動画をいつでもどこでもオンデマンドで視聴できる環境を整え、その視聴をもって修了したとみなす科目を設けるよう促す声が続出。日本介護支援専門員協会も既にこうした仕組みの導入を始めており、今後、法定研修の一般的な形として広げられる可能性もある。
◆ 時間、場所、デバイスを問わず
今月9日に開催された厚労省の検討会。現場の意見を聞くヒアリングに招かれた社会福祉法人米寿会の根津賢謙氏はこう話した。
「法定研修の講義を、全国どこにいても、いつでもオンラインの動画視聴で受講できるようになったら嬉しい」
根津氏は長崎県対馬市の居宅介護支援事業所の管理者。離島ならではの課題を紹介し、ICTを有効に活用することの重要性を強調した。
こうしたニーズに応える取り組みを進めているのが日本介護支援専門員協会だ。いち早く準備に着手し、オンデマンドの動画配信システムを2022年度から稼働。法定研修のテキストに適合したコンテンツで、ネット環境さえあれば時間、場所、デバイスを問わず学べるようにした。
受講者がどこまで再生したか把握したり、動画の早送りを禁止したりする管理機能も整備。今年度までに複数の都道府県がこれを法定研修に採用している。協会の柴口里則会長は9日の検討会で、より受講しやすい環境を広げてケアマネジャーの現場での活躍を支えていくために、更なる普及に力を入れる意向を示した。
これまでの2回の検討会では、他の有識者もこうした仕組みの普及を支持する立場を表明した。
日本医師会の江澤和彦常任理事は、「日本介護支援専門員協会が質の高い動画を作っていると聞いている。国が全国統一の教材として定めた動画で法定研修を受講できるようにする負担軽減策が必要だ」と提言。奈良県生駒市の田中明美特命監は、「更新までの5年間の間に、講義をオンデマンドで受講しやすいタイミングで受講できるようにすることは必要」と述べた。