厚生労働省が開催する「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」への関心が日増しに高まっています。【石山麗子】
かつて、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」がありました。以降、その「中間的な整理(平成25年1月7日)」にそって今日のケアマネジャーの関連施策は講じられてきました。
例えば、居宅介護支援事業所の指定権限の市町村への移譲、実務研修受講試験の受験資格や法定研修の内容の見直し、地域ケア会議の協力を省令に明示したことなどがあげられます。
今回は、ケアマネジャーの人材不足を踏まえた諸問題について、デジタル化の推進という環境下での対応策が検討されています。その中で、テーマの1つになっているのがケアマネジャーの役割や業務の範囲です。
国のケアマネジャーに対する調査の結果によれば、1ヵ月の中で対応したことがある業務のうち頻回で負担感も重いものは、「本人や家族からのサービス調整に関わらない電話、メール、SNS等への対応、時間外相談」でした。
例えば、介護保険以外の書類の申請は本来業務でしょうか。このことについて、ケアマネジャー自身、利用者、家族、役所や関係機関などの関係者が、どのような認識を持っているかが重要です。
独居、老々世帯、認知症の方が増えるなか、今後はより様々な支援が必要となるでしょう。既に、多くのケアマネジャーが実際に協力しています。「やって当然」の本来業務ではなく善意と理解されれば、まだ気持ちは軽くなります。度重なり支援を行う必要があるのなら、適切な報酬上の評価の検討も必要です。
高齢者らが支援を求めているのに対応可能な社会資源がなければ、それは地域課題です。即時解決が難しいことは承知していますが、ケアマネジャーが懸命に対応している現状と意義を周囲に理解してもらうことが第一歩となるでしょう。
厚労省が行った調査では、ケアマネジャーが仕事をするうえで重視することを答えてもらっています。その結果、以下のAとBがほぼ半数、つまり拮抗していることが分かりました。加えて、Bを選んだケアマネジャーはAに比べて負担感が低いという結果でした。
A. 業務範囲内で仕事をすることが大切=51.8%
B. 必要であれば業務範囲外のことにも対応することが大切=47.2%
業務負担を何とかしてほしいと訴える層と、必要なら実施することに価値をおくという層が、実は半々で存在しています。ケアマネジャーの考え方がそれぞれ拮抗するなか、最終的にどのように整理していくのが良いのか、難しい舵取りになりそうです。