ケアマネジメントをめぐる様々な課題と向き合う検討会が9日に開催された。今回は2回目。厚生労働省は現場の関係者から意見を聞くヒアリングを行った。【Joint編集部】
ヒアリングで話題になったことの1つが、利用者の期待に応える形で広がったケアマネジャーの役割の範囲。参加者からは、内外の線を引いて明確に分けることの難しさを指摘する声が相次いだ。
あわせて、その広い役割に見合う処遇改善が不可欠という主張も目立った。「もう一度ケアマネジャーを介護業界の花形職種に」。そんな提言もなされた。
◆「国がビジョンを示すべき」
ヒアリングで社会福祉法人「川崎聖風福祉会」の中澤伸理事兼事業推進部長は、「たとえ業務範囲を明確化したとしても、相談を受けた利用者のつなぎ先がない、分からないという問題は必ず残る。支援者と支援者の間に、誰の役割でもない隙間がどうしても生じる」と説明。「全ての国民がケアマネジャーの業務範囲を理解することもない。今まで同様、業務外と思われる依頼は必ず入ってくる」との認識を示した。
全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長は、「業務範囲の切り分けは容易ではない。利用者の信頼を得るための活動が質の高いケアマネジメントへつながるケースも多くある」と指摘。「総合的な相談窓口であることこそケアマネジャーの大きな役割。“何でも屋”と言われる今の状況は、利用者・家族からの信頼の表れ。誇りとも言える」と語った。
そのうえで、「そうした広い役割に見合った処遇改善が最優先。現在、報酬で評価されていない業務の評価も検討を」と要請。「ケアマネジャーを再び介護職員にとっての憧れ、花形職種へと導けるよう、国として『こうしていく』というビジョンを示すことが大切。担い手不足が深刻となっており、ケアマネジャーの地位向上を目指すことが重要」と強調した。
ケアマネジャーの処遇改善の重要性を訴える参加者・委員は他にもいた。
「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会の板井佑介理事は、「ケアマネジャーと介護職員の給与の逆転現象が現実問題としてある」と指摘。日本医師会の江澤和彦常任理事は、「居宅介護支援が処遇改善加算の蚊帳の外に置かれていることを、しっかりと議論していく必要がある」と促した。