2022年10月12日
政府、医療・介護の「報酬改定DX」に着手 現場の負担軽減目指す 来春に工程表
政府は12日、岸田文雄首相を本部長とする「医療DX推進本部」の初会合を官邸で開催した。デジタルトランスフォーメーションによるサービスの質の向上、効率化に向けた動き。今後の展開は介護分野にも大きな影響を与えることになりそうだ。【Joint編集部】
政府は今回、「診療報酬改定DX」に着手する方針を打ち出した。改定に伴う自治体や現場の事務負担、システム改修費などをデジタル化で減らし、制度全体の運営コストの圧縮や人材の有効活用にもつなげていく。介護報酬改定についても同様の視点でDXを進める。具体像はこれから詰めていく。
あわせて、医療・介護の様々な情報を一元的に集約する「全国医療情報プラットフォーム」の創設を目指す。個々のカルテやレセプト、処方箋、予防接種、各種検診などの情報を閲覧・共有・交換できるようにし、本人が希望すれば、医師や看護師、介護職らにも開示できるセキュアな環境の整備に取り組む。
政府は今後、こうした構想を実現する工程表を来春に策定する。全ての手続きをデジタルで完結させる「デジタルファースト」、情報の提出を1度きりで済ませる「ワンスオンリー」、あらゆるサービスを1ヵ所にまとめる「コネクテッド・ワンストップ」などの原則を重視する。岸田首相はこの日の会合で、「医療DXは我が国の医療の将来を大きく切り拓いていくもの。政府も縦割りを排し、省庁横断的に取り組みを推進する」と意欲をみせた。
政府はこのほか、マイナンバーカード1枚で医療・介護・福祉サービスが受けられる環境を作る考えも明示した。会合後に取材に応じた政府関係者は、「岸田政権の大事な政策の柱。内閣官房で調整役を担い、厚生労働省やデジタル庁、総務省など政府全体として医療DXを進めていく」と述べた。