新年度の介護報酬改定では、ホームヘルパーの不足が深刻化している訪問介護の基本報酬が引き下げられた。【Joit編集部】
事業者がこの苦境を乗り切るためにすべきことは何か − 。
介護経営コンサルタントの小濱道博氏は、欠かせない施策の1つに「特定事業所加算」の取得をあげる。今回の報酬改定で、「小規模な事業所もつかみやすい救いの手」が用意されたという。得られたコメントを以下にまとめた。
介護経営コンサルタント・小濱道博氏の話。
◆「報酬減を補填できる」
訪問介護は基本報酬が2%以上も引き下げられた。ヘルパーの有効求人倍率が15倍を超えるなど、圧倒的な人材不足で稼働率アップも容易ではない。
訪問介護は加算の種類も少ない。選択肢が限られるなか、極めて重要な施策となるのが特定事業所加算の算定だ。
その中でも、特に注目すべきは新区分IV。加算率は3%であり、これを算定すれば基本報酬のマイナス分を補填できる。
新区分IVは要件が緩和された。会議の開催や研修の実施といった基本要件を満たしたうえで、サービス提供責任者を規定よりも1名多く配置すれば取得できる。勤続7年以上の介護職員が30%以上、という従来の要件も残されており、これらのどちらかを満たせばいいルールとなった。
この勤続年数の要件も、昨年度末に公表された報酬改定のQ&Aで、同じ法人内であれば他サービスの介護職員としての勤務年数も通算できるとされた。もともと特定事業所加算の算定率は低い。今回の措置により、多くの事業所の収益が改善される可能性は高い。小規模な事業所もつかみやすい救いの手と言えるだろう。
◆ ブレーンの存在もポイント
問題は、会議の開催や文章での伝達などの事務負担だ。小規模な事業所では、経営者やサービス提供責任者が現場でサービスに入りっぱなしの状態。事務が増えると対応できないという声も強い。
事務負担をどう軽減するか。やはり業務改善とICT化が一般的だろう。国や自治体の補助金なども有効に活用する必要がある。
しかし、これらも小規模な事業所にはハードルが高い。こうなるともう八方ふさがりに近い状況だ。キーポイントをあげるとすれば、適切なアドバイスを送ってくれるブレーンの確保、業務負担の軽減につながるサービスの活用などではないだろうか。