【伊藤亜記】離職防止のために介護現場の上司が気をつけるべきこと 良い職場環境を作るには気配りも大事!
新年度を迎え、介護報酬改定も4月1日から施行されました。【伊藤亜記】
介護事業所・施設の皆様からは、「多くの退職希望者が出て困っています。反省すべき点は反省し、これ以上の退職者を防ぎたい」というご相談も頂いています。
介護労働安定センターの2022年度の調査結果をみると、離職の要因は「職場の人間関係に問題があったため」が27.5%で最も多く、次いで「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」が22.8%となっています。
具体的な離職の理由としては、様々なことが考えられます。例えば、
◯ 経営者も管理者も自分の話を聞いてくれない
◯ 現場の意見も聞かず、無理なことでも仕事だからと命令してくる
◯ 人が辞めてシフトがキツくなっても労いの言葉もない
◯ トップダウンで息が詰まる
◯ 上司は上に言われて指示を出すだけで現場の実情を理解しようとしない
◯ 問題のある上司を経営者が放置している
◯ 職員を大事にせず使用人扱いする
◯ 責任と義務ばかり要求されて、何の権限も与えられない
◯ 経営陣の仲が悪く連携が取れておらず、会社全体が暗い
◯ 会社に新しい挑戦をしたり、職員の個性や可能性を広げたりする意思がなく、発展性や将来性が感じられない
といった例があるのではないでしょうか。
今後の介護現場にとって、人材確保やそれにつながる職場環境の改善は最重要の課題です。こうした例から、事業所・施設の管理職やマネジメント層などの皆様は、自分の職場に問題がないか改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか。
例えば、「上司の言うことが何度も変わり、朝の指示が夕方には変わるので職員が振り回されている」という声。指示が変わる場合は、その理由の説明と変わったことへの謝罪が必要です。
また、「都合が悪いことは部下の責任にして、自分は責任から逃げる卑怯な上司がいます」というご相談も頂きました。
常に保身ばかりで、上司と言う立場を利用して都合のいいこと、悪いことをコントロールしていると、強い不信感を生み出すことになります。
自分の権限で無理な指示出しや安易な判断もできる反面、その結果の采配も可能という都合のいい立場の方もおられます。自分の指示や判断に責任を持たず逃げる上司は、責任をなすりつけられないために常に予防線を張っていることもあります。そうした方がいる場合、人間関係は益々こじれてしまうでしょう。
そして決まり切った言い訳が、「会社が悪い」「社長が悪い」。誰かの責任にしても、職場内に建設的な会話は生まれません。ますます嫌な雰囲気になるばかりです。
今回の込み入った介護報酬改定に対応していくためには、常勤・非常勤を問わず、職員ひとりひとりの協力が不可欠です。どうかお客様のみでなく、個々の職員の思いにも目を向け、気配り、心配りのある事業所・施設運営を目指して頂ければ幸いです。