新年度の障害福祉サービス報酬改定では、生活介護の基本報酬の算定ルールが大幅に変更された。【Joint編集部】
従来の営業時間ではなく、サービス提供時間に応じて評価する体系に変わった。国の狙いは、事業所の運営実態をより正確に反映できる制度設計へ改善すること。単位数は1時間ごとに、3時間未満から9時間未満まで細かく設定された。
《詳細はこちら》生活介護の基本報酬、算定ルール大幅変更 サービス時間を反映
厚生労働省は年度末の先月29日、報酬改定の解釈通知を新たに公表。事業所の経営への影響などを踏まえた一定の配慮措置を明らかにした。
例えば、障害特性などでやむを得ず短時間の利用となってしまう利用者の場合。一定の上限を設けたうえで、前後の準備や申し送りなどの時間もサービス提供時間に加えられるようにするとした。
生活介護の基本報酬の見直しをめぐっては、現場の関係者から「事業収入が大幅に減ってしまう」などと悲鳴があがっていた経緯がある。解釈通知のポイントを以下にまとめた。
生活介護の解釈通知のポイント|サービス提供時間に応じた基本報酬の考え方
◯ 現に要した時間により算定されるのではなく、生活介護計画に基づいて行われるべきサービスの標準的な時間に基づいて算定されるもの。原則として送迎時間は含まない。
◯ 生活介護計画の見直しを行い、標準的な時間を定めたうえで、その標準的な時間に基づいて算定するものだが、今年4月から生活介護計画の見直しまでの間は、前月の支援実績や本人の利用意向の確認などを行うことにより、標準的な時間を見込むものとする。
◯ 生活介護計画に位置付けられた標準的な時間と実際のサービス提供時間が合致しない状況が続く場合、生活介護計画の見直しを検討すること。
生活介護の解釈通知のポイント|一定の配慮措置
◯ 当日の道路状況や天候、本人の心身の状況などやむを得ない事情により、サービス提供時間が生活介護計画に位置付けられた標準的な時間よりも短くなった場合には、生活介護計画に位置付けられた標準的な時間に基づき算定して差し支えない。
◯ 利用者が必要とするサービスを提供する事業所が地域にない場合などで、送迎に要する時間が往復3時間以上となる場合は、1時間を生活介護計画に位置付ける標準的な時間として加えることができる。
◯ 障害特性に起因するやむを得ない理由により、利用時間が短時間(サービス提供時間が6時間未満)とならざるを得ない利用者については、利用前の受け入れ準備や利用後の申し送り事項の整理、主治医への伝達事項の整理などに長時間を要するため、これらに実際に要した時間を、1日2時間以内を限度として、生活介護計画に位置付ける標準的な時間として加えることができる。
◯ 送迎時に実施する居宅内での介助に要する時間は、生活介護計画に位置付けたうえで、1日1時間以内を限度として、生活介護計画に位置付ける標準的な時間として加えることができる。
◯ 実際の所要時間が、家族らの都合で生活介護計画に位置付けられた標準的な時間よりも長くなり、日常生活上の世話を行う場合には、実際に要した時間に応じた報酬単価を算定して差し支えない。
※ 詳細は解釈通知のP114からP117参照。
※ 報酬改定のQ&Aの問26から問29にも解説あり。