【介護報酬改定】管理者の兼務範囲の拡大、厚労省が解釈を通知 緊急時の速やかな対応などが要件
厚生労働省は新年度の介護報酬改定で、事業所の管理者が他の事業所の仕事を兼務できる範囲を拡大する。
近くにある事業所だけという従来の縛りをなくし、兼務が認められないケースなどがより分かりやすくなるようにする。全てのサービスが対象だ。【Joint編集部】
厚労省は事業所の運営基準の省令から、「同一敷地内」などの文言を削除。運営基準の解釈通知には、同じ会社が運営する事業所の仕事であれば条件付きで兼務できると記載した。
どんな条件が定められたのか? 訪問介護の例を以下にまとめた。他のサービスも基本的にこれと同様の趣旨で見直される。
《例》訪問介護|運営基準の解釈通知
◆ 管理者が他の事業所の業務を兼務できるケース
他の事業所の管理者、従業者として従事する時間帯も、利用者へのサービス提供の場面などで生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員・業務の一元的な管理、指揮命令に支障が生じないとき。
◆ 管理業務に支障があると考えられる具体的なケース
◯ 管理すべき事業所数が過剰だと個別に判断される場合。
◯ 併設の入所施設で入所者にサービスを提供する看護職員・介護職員と兼務する場合(施設の勤務時間が極めて限られる場合を除く)。
◯ 事故発生時などの緊急時に、管理者自身が速やかに利用者へのサービス提供の現場に駆け付けることができない体制となっている場合。 等
管理者の兼務範囲の拡大は、介護サービスをより効率的に提供できる環境を整備する施策の一環。
厚労省は併せて、今回の介護報酬改定で管理者の責務の明確化も図る。各サービスの運営基準の解釈通知などに、管理者の責務として、「介護保険法の基本理念を踏まえた利用者本位のサービス提供を行うため、利用者へのサービス提供の場面などで生じる事象を適時かつ適切に把握しつつ、従業者・業務の一元的な管理、必要な指揮命令を行う」などと明記した。