介護報酬を議論する審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)が18日に開催された。【Joint編集部】
話題になったのはやはり、新年度から訪問介護の基本報酬が引き下げられること。現場の関係者らで構成する委員からは、今回の改定の影響をきめ細かく把握するよう求める声が相次いだ。
「事業所の持続可能性の低下だけでなく、特に“ホームヘルパー離れ”につながっているという声が届いている」
日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長はそう問題を提起。民間介護事業推進委員会の稲葉雅之代表委員も、「このところ訪問介護を閉鎖する事業者が増えているという話を聞く」と懸念を示した。
厚生労働省は会合で、訪問系や通所系、居住系などのサービスを対象とする調査を新年度に実施する方針を説明。事業所の運営実態や加算の算定状況、解消すべき課題などを把握し、より効果的・効率的な仕組みを作る施策の立案につなげたいとした。
介護ニーズの増大・多様化や人材不足が更に顕著となる今後を見据え、調査テーマを「地域の実情や事業所の規模などを踏まえた持続的なサービス提供のあり方」とする案も提示。今後、調査票の設計など準備を進め、9月頃に調査を行う計画を示した。
審議会ではこうした方針が確認された。委員から多くあがったのは、基本報酬が引き下げられる訪問介護の動向を特にしっかりみるよう促す意見だ。
全国知事会を代表して参加している長崎県の大石賢吾知事(代理で参考人が発言)は、「都市部などで集合住宅を対象に効率よく運営できる事業所とそうでない事業所とでは、経営実態に大きな違いがある」と指摘。「地域で事業所が果たしている役割、やむを得ず生じてしまう非効率さ、移動時間などの実情も精緻に分析して欲しい」と要請した。
NPO法人高齢社会をよくする女性の会の石田路子理事は、「閉鎖する事業所も出てくると危惧している。そうした状況もしっかり把握していく必要があるのではないか」と提案。認知症の人と家族の会の鎌田松代代表理事は、「大規模な事業所のみが存続する未来ではなく、小規模な事業所もあって利用者が選択できる未来にしてほしい。訪問介護事業所の規模別の詳しい調査を」と主張した。
こうした意見に対し厚労省の担当者は、「委員の意見も踏まえ、今回の改定の影響をしっかり把握できるような調査設計にしていきたい」と応じた。