厚生労働省は新年度の介護報酬改定で、特養や老健など介護施設に後方支援の協力医療機関の選定を義務付ける。4月からの3年間は経過措置で努力義務に留める。【Joint編集部】
「経過措置の期限を待たず、可及的速やかに連携体制を構築することが望ましい」。厚労省は新たに公表した運営基準の解釈通知(案)でこう呼びかけた。
協力医療機関の対象としては、在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院などをあげ、「施設から近距離であることが望ましい」と記した。
今回、厚労省が定めた介護施設の協力医療機関の要件は次の通り。介護施設は協力医療機関の選定に加え、指定権者への届け出も必要となる。
介護施設が選定する協力医療機関の要件
(1)入所者の急変時などに、医師や看護職員が相談対応する体制が常時確保されていること
(2)診療の求めを受けて診療を行う体制を常時確保していること
(3)急変時などに入院を要すると認められた入所者の入院を、原則として受け入れる体制を確保していること
※ 複数の協力医療機関を定めて上記要件を満たすことも可
■ 1年に1回以上、協力医療機関との間で、入所者の急変時などの対応を確認するとともに、その協力医療機関の名称などを指定権者へ届け出なければならない
協力医療機関の選定は、入所者の医療ニーズに対応できる体制の整備につなげることが目的。厚労省は解釈通知(案)で上記(3)の要件に触れ、「必ずしも専用の病床を確保していなくても差し支えなく、一般的に地域で在宅療養を行う人を受け入れる体制が確保されていればよい」と説明した。
指定権者への届け出については、専用の様式を新たに公表。「協力医療機関の名称や契約内容に変更があった場合は速やかに届け出ること」と呼びかけた。
また、経過措置の期間内で協力医療機関の選定が済んでいない介護施設に対し、期間内に適切に選定するための計画の届け出を要請。新たな様式に、「医療機関との取り決めが困難だった理由」「1年以内に協議する予定の医療機関」などを記載する欄も設けている。