【重要】オンラインモニタリング、ケアマネが注意すべき6つの視点=石山麗子
来年度の介護報酬改定では、居宅介護支援に、いわゆるオンラインモニタリングが初めて認められました。【石山麗子】
ケアマネジャーが担当する利用者のうち、対象となる方はごくわずかでしょう。ですから今は業務上の変化も少なく、どちらかといえば影響力の低い改定事項に見えているかもしれません。
しかし今後は、オンラインモニタリングが少しずつ増えていく傾向になることが予想されます。ケアマネジャーが利用者宅を訪問し、五感を駆使して面談するモニタリングと比べ、質が高いとは必ずしも言えない方法です。どのようなことに気を付けたら良いのか、事前にしっかり確認しておきましょう。
厚生労働省が定めた要件をクリアするのはもちろんのことですから、ここではそれ以外のポイントを考えてみましょう。
◆ 原則=訪問すること
「訪問よりもオンラインモニタリングを行ってください」という改定ではありません。あくまでも訪問を原則とし、オンラインモニタリングも行えるという主旨です。
◆ 誰を対象とするか
対象となる利用者は厚労省が示す通りですが、実際にはそれ以上のことを考慮する必要があります。
例えば、既に信頼関係が十分にできている利用者でなければ、今後のケアマネジメントプロセスに影響します。一般的に考えれば、新規利用者のモニタリングをオンライン中心とすることは想定できません。
つまり、継続しているケースでケアマネジャーとの信頼関係がしっかりと構築されており、心身も安定し、ケアプランの変更がないような利用者が適切と考えられます。
◆ メリットはあるか
ケアマネジャー側の視点ではなく、利用者や家族にとってのメリットを重視すべきです。さもなければ、「ケアマネさんは忙しいからうちはオンラインにされた」と内心思う利用者が出てくるかもしれません。
メリットを感じる家族とは例えば、
◯ 家事、育児、仕事などで忙しく、オンラインモニタリングの方がむしろ都合が良いと感じる
◯ 遠方に住んでおり、これまでのモニタリングには同席できていなかったが、オンラインなら同席できる
といった場合があげられます。
◆ 限界を認識して活用する
訪問すると五感を使えます。一方でオンラインモニタリングは、視覚情報が画面に映る範囲だけにとどまります。画面以外の本人の身体状態(胸から下、腕や指、腹部、下肢、身体の後ろ側)は把握できません。口の中も対面より見えづらいです。
カメラの性能やタイプによって皮膚の艶や色も違って見えますから、訪問した時と一概に比較できません。環境面も足元の絨毯の汚れ、埃、虫などを見つけることはできないでしょう。
当然、臭い、湿度、温度も画面からは分かりません。いつの間にか増えた不審な物品、家族との関係を想像するような距離感・気配なども察知できないでしょう。
その他、オンラインで不可能なことはたくさんあります。それらの弱点を認識したうえで、利用者の選定や実施して良い時期を選べることも今後、ケアマネジャーの専門性の1つとなっていきます。
◆ 多職種との連携・配慮
オンラインモニタリングでは、他の職種やサービス事業所などから情報提供を受けて判断することになります。どのような情報が必要か、その情報は誰からどのタイミングで提供してもらえばベストか、関連する事項を総合的に将来予測したうえで依頼することが重要になります。
その際、依頼される側のスケジュールや負担感にも配慮が必要です。ともすれば他職種は、本来モニタリングはケアマネジャーが行うべきなのに私たちが代わりに動いている、と感じるかもしれません。
◆ オンラインを選ぶべき場面
来年度の改定の主旨とは少し異なるかもしれませんが、オンラインモニタリングが効果的と言えるのは、「訪問して行うモニタリング + 必要時に適宜オンラインモニタリング」という形です。
本人や家族とコンタクトをとる必要が生じた時に、電話よりも画面で表情や状況を確認したり、資料を示しながら確認したりする場合などは、適宜オンラインモニタリングを行うと有効でしょう。ケアマネジメントの質の向上につながりますし、本人や家族にとっても安心感、満足度が高まるでしょう。
ケアマネジャー不足が顕在化するなか、私たちは今、より多くの利用者に質の高いケアマネジメントサービスを提供する方策を考えていく岐路に立っています。ケアマネジャーの皆さまには、是非こうした視点を十分に検討して頂きたいと考えています。