【介護報酬改定】厚労省、新たな基本報酬を発表 サービスごとに明暗 訪問介護は引き下げ
厚生労働省は22日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)を開き、各サービスの新たな基本報酬を公表した。【Joint編集部】
サービスごとに明暗が分かれた。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などは大幅増。一方、訪問介護や定期巡回・随時対応サービスなどは引き下げとなった。
厚労省は改定後の新たな基本報酬を今年度内に告示する方針。
基本報酬が引き下げられるサービスは、訪問介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応サービス、訪問リハ(予防のみ)の4つ。厚労省は理由について「様々な要素を考慮した」としつつ、特に2つを明示的にあげた。
1つは経営状況。昨年11月に公表した直近の「経営実態調査」の結果を踏まえた。
各サービスの利益率をみると、例えば訪問介護は7.8%、夜間対応型訪問介護は9.9%、定期巡回・随時対応サービスは11.0%。全サービス平均の2.4%を大きく上回っていた。
もう1つの要素は、介護職員以外の職種の処遇改善を進める必要があることだ。
政府は昨年末、来年度の改定で介護報酬を全体として1.59%引き上げ、うち0.98%を介護職員の賃上げに充てる方針を決定。残りの0.61%を各サービスの基本報酬などに振り分け、これで介護職員以外の職種の処遇改善も実現する考えを打ち出していた。
基本報酬が引き下げられるサービスはいずれも利益率が高く、介護職員以外の職種も少ない。一方、特養や老健などは違う。物価高騰などで利益率はマイナスまで落ち込んで(*)おり、介護職員以外の職種も多く働いている。
* 直近の「経営実態調査」の結果をみると、特養の利益率は▲1.0%、老健の利益率は▲1.1%となっている。
厚労省は今回、こうした要素を考慮して各サービスの基本報酬を設定したと説明した。ただ、現場の関係者の間ではホームヘルパーの給与、労働環境などを大幅に改善すべきとの声が強い。処遇改善加算の一本化・拡充は別途行われるものの、訪問介護などの基本報酬の引き下げは波紋を広げそうだ。