厚生労働省は来年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬を引き下げる。【Joint編集部】
見直しは以下の通り。身体介護も生活援助も単位数が下がる。事業者にとっては厳しい改定となる。
厚労省は22日の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、4月1日から適用する新たな単位数を明らかにした。深刻なホームヘルパーの不足には、処遇改善加算の拡充による賃上げなどで対応していく構えだ。
訪問介護の基本報酬を引き下げた理由としては、「様々な要素を考慮した」と説明。特に2つを明示的にあげた。
1つは経営状況。昨年11月に公表した直近の「経営実態調査」の結果を踏まえた。訪問介護の利益率は7.8%で、全サービス平均の2.4%を大きく上回っていた。
もう1つの要素は、介護職員以外の職種の処遇改善を進める必要があることだ。
政府は昨年末、来年度の改定で介護報酬を全体として1.59%引き上げ、うち0.98%を介護職員の賃上げに充てる方針を決定。残りの0.61%を各サービスの基本報酬などに振り分け、これで介護職員以外の職種の処遇改善も実現する考えを打ち出していた。
訪問介護は利益率が高く、介護職員以外の職種もほとんどいない − 。
これが基本報酬を引き下げる大きな理由とされた。厚労省は今回、特養や老健の基本報酬を逆に大幅に引き上げる。物価高騰などで利益率がマイナスまで落ち込み、介護職員以外の職種も多く働いているためと説明した。
このほか、来年度から一本化する処遇改善加算を拡充する効果も強調している。
介護報酬の引き上げによる財源(0.98%分)を用い、訪問介護の加算率を最上位で24.5%まで高めると発表(下記)。基本報酬の引き下げを断行しても、これでヘルパーの賃上げは具体化できるとの認識を示した。
訪問介護|一本化後の処遇改善加算の新たな加算率
介護職員等処遇改善加算(I)= 24.5%
介護職員等処遇改善加算(II)= 22.4%
介護職員等処遇改善加算(III)= 18.2%
介護職員等処遇改善加算(IV)= 14.5%