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2022年6月29日

SOMPO流で日本の介護を変える。我々が”令和維新”を起こしていく=鷲見新社長

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SOMPOケア・鷲見隆充代表取締役社長 COO

「数百年後の大河ドラマで我々の活動が取り上げられるくらいのことをしたい」

今年4月からSOMPOケア株式会社の代表取締役社長に就任した鷲見隆充氏の思いだ。Jointの単独インタビューで胸中を語った。

約2万4000人の社員を抱える業界最大手のトップは、現場で介護職員として働いた経験も有する。東京都品川区の本社へ伺い、その経営観や課題、目指す目標などを詳しく聞いてきた。

「品質を伴う生産性向上の実現を目指していく」「介護職の社会的地位を上げないといけない」。口調こそ丁寧で穏やかだったが、その言葉からは人並みならぬチャレンジ精神がにじみ出ていた。【Joint編集部】

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  −− はじめまして。今日はよろしくお願い致します。

ご足労頂きありがとうございます。どうぞよろしくお願い致します!

■ 口腔ケアに悪戦苦闘した日々

  −− まずは日頃から特に大切にされていることを教えて下さい。

はい。色々あるのですが、敢えて1つあげるとすれば”人間力”でしょうか。私はこれを、人間性と行動力の2つで構成されるものだと考えています。

良い人間性とは何か。それは例えば、電車に乗っている時にお年寄りや妊婦さんに席を譲ってあげようという気持ちが生じることです。行動力とは、その思いを抱いた後に実際に動くことができるかどうかです。こうした”人間力”を伸ばしていくことが、介護の事業でもとても重要ではないでしょうか。

あとは「必笑」。私の好きな言葉で、いつも心に留めておくようにしているんです。読んで字のごとく、「必ず笑う」という意味で使っています。

改めて言うとなんだか恥ずかしいですが…。やっぱり笑顔って非常に大事ですよね。苦しい時こそ笑っていられる精神力を持ちたいものです。いつも怖い顔ばかりしていると、誰か困った人がいても私には相談したくないでしょうし。

  −− 現場で介護職として勤めたこともあると聞きました。

私は保険業界で経験を積んできたのですが、2015年4月から介護現場へ出向して介護付きホームのケアスタッフ、管理者などをさせて頂きました。天国へ行った私の母もデイサービスで働いていたので、何か運命的なものを感じましたね。

介護現場ではお風呂、お食事、排泄、口腔ケアなどの介助に取り組んだのですが、中でも特に口腔ケアには苦労しました。口内の清潔を保つのって本当に大変ですよね。誤嚥性肺炎を引き起こすリスクもあるわけで、非常に責任の重い仕事でもあります。日々「何か良い方法はないものか」と悩みながら、悪戦苦闘したことをよく覚えています。

  −− 介護現場での経験から何を学びましたか?

なかなか語り尽くせないくらい色々なことを感じました。そうですね…。もちろん全てではないのですが、ご利用者様の求めていることを実感として把握することができ、自分がしたいことも見えてきたんだと思います。

例えば、施設内で十分な量を食べていなかったご利用者様。外出して好きなお店に行った時、びっくりするほどいっぱい食べて嬉しそうに笑っていました。また、入浴している時に本当に気持ちよさそうな顔をするご利用者様もいましたね。外出、食事、入浴の重要性を改めて思い知りました。

これらを末永く自立してできることが、誰にとっても大事ではないでしょうか。1人の人間として、最後まで人間らしく、笑顔で生き抜いて頂きたい。それが実現できる社会を作っていこうと思うようになりました。

■「皆がプライドを持って働けるように」

  −− 介護現場の大きな課題として人手不足があります。現状をどう捉えていますか?

我々SOMPOケアで言うと、今年4月に441名の新卒正社員が入りました。離職率の低下も続いており、今では11%程度まで落ちてきています。

これらはポジティブな要素ですから、今後も長く続けていくことが肝要だと考えています。介護の道を選んでくれた社員が、将来的にもずっとこの会社で働いていけるようにしていきたいです。

当然、我々も人材確保が非常に厳しい状況にあることは変わりません。業界全体が苦しんでいますよね。更なる処遇改善、休日・連休の確保を含む労働環境の改善などに取り組む必要があるでしょう。

ただ、我々は介護報酬をベースに経営をしている業界です。普通に考えたら、介護報酬を上回る給料を支払うことはできません。その中でどんな手を打てるのか。課題は沢山ありますが、できることを見出してしっかりと取り組むことが求められると思います。

  −− 今年度から処遇改善の原資として新たに24億円を投じるなど、リーダー級の介護職員の給与を看護職員と同等まで引き上げる取り組みを実施されています。狙いを教えて下さい。

介護は専門的な仕事です。介護職員の地位が上がり、皆がプライドを持って働けるようにしなければいけません。

我々としては、高度な知識・スキルと豊かな心の態度を兼ね備えた優秀な介護職員を育成し、「介護プライドマイスター」として認定したうえで、彼らの処遇を良くする取り組みを進めています。他の職員には、まずは彼らを目標として頑張って頂くことにしています。処遇や労働環境の改善は引き続き必要でしょう。今後も更なる施策を検討していくことにしています。

SOMPOケア・鷲見隆充代表取締役社長 COO

■「人材確保は無理かもしれない。だからこそ…」

  −− 2040年までに介護職員を業界全体で69万人増やさなければならない、という国の推計があります。本当に実現できるのでしょうか?

そうですね…。今後、現役世代の数自体が急激に減少していく見通しです。このままでは難しいかもしれません。だからこそ、新しいことに取り組んで活路を開くチャレンジが不可欠ではないでしょうか。

例えば、テクノロジーに任せることができる業務は積極的に任せていき、介護職員には”人にしかできないこと”にもっと集中して頂く。データの蓄積・利活用などを推進し、介護予防の取り組みの効果をできるだけ高めていく努力も重要です。多様な人材の参画や役割分担の見直し、人員配置の最適化なども含め、取り組みを総合的に展開していくべきでしょう。

確かに、どこまでできるか、いつまでにできるか、はまだ明確には分かりません。それでも、とにかく果敢にチャレンジしていくことが大切ではないでしょうか。我々としては、サービスの質を決して落とすことなく業務を効率化する、生産性を向上する挑戦を続けていきます。

  −− やはり生産性の向上が重要ということですね。

いえ、違います。”品質を伴う”生産性の向上です。介護事業を展開する以上、サービスの質の向上を蔑ろにすることはあり得ません。我々はご利用者様も、職員も、社会全体も、”三方良し”となるSOMPO流の形を作っていきたいんです。

SOMPOの介護が日本の介護を変える − 。少し大袈裟かもしれませんが、そうした意気込みを持って取り組んでいます。新たな介護の価値を創り出そうとする挑戦が、数百年後の大河ドラマで取り上げられればいいですよね。

それは半分冗談としても、少なくとも日本の未来を創るのは今を生きる我々に他なりません。今の時代がいつか”令和維新”と呼ばれ、それを起こしたグループとして我々が数えられるくらいのことをしていきたいです。

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