次の2024年度の介護保険制度改正をめぐる議論を進めている審議会の26日の会合。厚生労働省はここで多くの論点を掲げたが、その中の1つとして「高齢者虐待の防止の推進」も提起した。【Joint編集部】
「高齢者虐待は当然あってはならないこと。今後、高齢者人口の増加が見込まれる中にあっても、高齢者の権利・利益の擁護が適切に図られていくべき」と改めて強調。「虐待防止対策の実効性を高めていく方策を検討する必要がある」との認識を示した。
あわせて課題として、有料老人ホームに該当しないサービス付き高齢者向け住宅やシェアハウスについて、現行の法令に虐待防止措置に関する規定がないことを指摘。「こうしたサ高住やシェアハウスでも虐待事案が複数報告されている」と説明した。
* 介護保険法に基づく特養や老健といった施設、老人福祉法に基づく養護老人ホーム、軽費老人ホームなどには、その運営基準で虐待防止措置が義務付けられている。また有料老人ホームについては、その指導指針で技術的助言として虐待防止措置が規定されている。
これを受けて会合では複数の委員から、「虐待防止措置の規定がないところには何らかの規定を設けるべき」「入居者を守る観点から何らかの措置を講じるべき」などの声があがった。このほか、「職員のメンタルヘルスの視点も極めて重要」との意見も相次いだ。
2020年度の調査結果によると、介護現場の職員が加害者となるケースの相談・通報は2097件。実際に虐待があったと判断されたのは595件で、厚労省は「いずれも高止まりの傾向」としている。