厚生労働省は21日、全国の介護費の動向などを明らかにする「介護給付費等実態統計」の最新版を公表した。居宅介護支援の費用額(*)が昨年度、初めて5000億円を超えたと報告している。【Joint編集部】
* 費用額=介護保険の給付費に利用者負担分などを加えたもの。介護予防支援は含まれていない。
今回の統計によると、居宅介護支援の昨年度の費用額は5146億2900万円。前年度から5.4%(約263億円)増え、過去最高を更新した。介護予防支援も含めると、昨年度の費用額は前年度比0.55%増の5576億6400万円。
居宅介護支援の昨年度の利用者数は379万900人。高齢化の進展を背景として、前年度から3.2%(約12万人)増加した。利用者数、費用額は今後も引き続き増えていく見通しだ。
政府は現在、2024年度に控える次の介護保険制度改正を念頭に、居宅介護支援でも新たに利用者負担を徴収する案を俎上に載せている。仮に1割負担が導入された場合、単純計算でおよそ500億円強の給付費を抑制できることになる。
ただし、現場の関係者の間ではこの案への慎重論が根強い。「利用者の希望が優先され、必ずしも自立支援につながらないケアプランが増える」「かえって費用額の膨張が加速する」などの懸念の声が出ている。