来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている国の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で26日、通所介護が取り上げられた。厚生労働省は論点の1つとして、豪雪地帯などの事業所の扱い方を提示した。【Joint編集部】
冬場に雪が積もると、送迎に通常より大きなコストがかかって運営が厳しくなる − 。
事業者や自治体などからこうした声があがっていることを踏まえ、「豪雪地帯と他の地域の送迎にかかる支出を調査した」と説明。「例えば車輛費(*)は、豪雪地帯よりも他の地域の方が高いなど、豪雪地帯の送迎の支出が高いという結果は必ずしも得られていない」との認識を示した。
* 車輛費=厚労省は車本体、燃料費、車の検査費、保険料、送迎委託費などが含まれると説明している。
現場の関係者らはこれまで、例えば「特別地域加算」などの対象に含めて追加的なコストを報酬で補填して欲しいと求めてきたが、こうした施策は差し当たり採用しない構えだ。代わりに、来年度の改定で次のような措置をとることを提案した。
《厚労省の対応案》現行の留意事項通知で、「当日の利用者の心身の状況から、実際の通所介護の提供が計画上の所要時間よりやむを得ず短くなった場合には、計画上の単位数を算定して差し支えない」としている。これを利用者の急な体調不良などに限らず、積雪などのやむを得ない事情も含まれることを通知上明確化する。
委員からは異論が噴出した。
日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は、「かかっているのは車輛費ではない。雪かきのための追加的な人件費や除雪業者への支払いなどで、この負担が非常に大きい。改めて調査して欲しい」と主張。全国知事会を代表して参加した長崎県の担当者(知事に代わり参考人出席)は、「豪雪地帯や離島などの通所介護は更なる支援が必要。特別地域加算などの充実を」と要請した。
厚労省はこうした意見も踏まえ、引き続き検討を深めるとしている。