【介護報酬改定】通所介護の入浴介助加算I、要件を厳格化 厚労省提案 事業者から異論も
厚生労働省は26日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、通所介護の入浴介助加算を俎上に載せた。【Joint編集部】
※ 加算(II)の見直しについてはこちらの記事で
基本の「加算(I)」の要件を厳格化し、入浴介助の技術を高める研修の実施などを新たに求めることを提案。担当者は会合で、「入浴介助の技術は利用者の尊厳を守るうえでも非常に重要。より適切に実施されるよう、求められる研修の内容によりしっかり取り組んで頂きたい」と説明した。
具体的にどのような研修の形・内容を求めていくかについては、「介護職員の負担も考慮しながら今後詳細を検討していく」と明言を避けた。厚労省は年内に大枠の方針を固める予定。
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◆「オーバーワーク」との声も
通所介護の入浴介助加算(I)は40単位/日。以前は50単位/日だったが、上位区分の加算(II)が新設された2021年度の改定で引き下げとなった経緯がある。
審議会に提示された今年度の調査結果によると、加算(I)を算定している事業所のうち入浴介助の研修を実施しているのは6割超。残りの4割弱は「行っていない」と答えていた。厚労省は会合で、要件の厳格化によってこうした現状の改善を図りたい考えを示した。
委員の意見は分かれた。
日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は、「入浴介助は留意すべきことが多く、自立支援に資するスキルの習得を推進していくことは極めて重要。是非進めて頂きたい」と賛意を表明。日本医師会の江澤和彦常任理事は、「充実した研修が展開されることを期待している」と述べた。
一方で、全国老人福祉施設協議会の古谷忠之参与は、「近年、他にも様々な研修が義務化されてきており、介護職員の負担増となっている。オーバーワークにもつながりかねず、慎重な検討が必要」と反発。「急激な物価上昇、光熱水費の上昇、長時間にわたる入浴介助の労力などを踏まえると、加算単価の大幅な引き上げが不可欠。まず、この点の検討をお願いしたい」と訴えた。
このほか、民間介護事業推進委員会の稲葉雅之代表委員も、「かかるコストを十分に考慮した単位数にすべき」と要請した。