厚生労働省は16日の閣議に、2022年版の「厚生労働白書」を報告した。毎年異なるメインテーマを設定しているが、今年は「社会保障を支える人材の確保」を選んだ。【鈴木啓純】
「人材確保は令和の社会保障における最重要課題の1つ」と説明。介護分野では、「特に訪問系サービスで重点的に人材を確保することが重要」との認識を示した。
白書によると、2019年時点で介護職員は全国におよそ211万人いる。団塊の世代が全て75歳を超える2025年には、約243万人が必要となる見通し。人材確保はまさに待ったなしの課題だ。更に先の2040年までを見据えると、約280万人が必要になると推計されている。
ただ、足元の2021年で介護職員の有効求人倍率は3.64倍。全産業計の1.03倍より大幅に高くなっている。人手不足は特に訪問系サービスで深刻だ。例えば全国の訪問介護事業所のうち、54.1%が「大いに不足」「不足」と回答したと報告されている。
白書では人材確保に向けた課題として、処遇や労働環境の改善、業務負担の軽減などをあげた。これらを具体化する施策を一体的に進めることに加えて、介護現場での新たなテクノロジーの活用や組織マネジメント改革の必要性も指摘。「人材確保とサービス改革のベストミックスにより、人口減少下においても実現可能な体制を目指す」とまとめている。